こんにちは!当ブログの管理人で水族館飼育員のめだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
入館料の安い水族館にもキャッシュレス決済は必要か?
前回の内容に引き継ぎ、お金のない小さな水族館でもキャッシュレス決済は必要か?個人的な考えと導入までの壁について解説したいと思います。
マニアックな話ですが、管理人と同じように将来は水族館の運営や経営に携わりたいと思っている方にはぜひ読んでいただきたいです!
それでは早速いきましょう!
導入においての壁
今時キャッシュレス決済導入しないとかありえない
〇〇使えないの?今じゃどこでも使えるのに?
職場や伺ったお店でこのような耳の痛い言葉を聞く機会が増えてきました。
ただ、水族館側に導入するまでの壁があるということを理解しておきましょう。
いろんな壁がありますが大きな3つに絞って解説します。
【キャッシュレス決済導入を阻む3つの壁】
- コストの壁
- 技術的リテラシーの壁
- 運営者の方針の壁
①コストの壁
一番大きい壁として立ちはだかるのはやはりコストの問題です。
使う側なら便利この上ないキャッシュレス決済ですが、もちろん無料なわけがありません。
- 導入費用(イニシャルコスト)
- 維持費用(ランニングコスト)
導入費用
当たり前ですが、キャッシュレス決済に対応するためのインフラが必要になります。
- インターネット接続
- 決済端末の設置
- セキリュティ対策
- スタッフへの教育とトレーニング
- 来館者への案内
など
ぱっと思いつくだけでもこれらをクリアする必要があります。
キャッシュレス決済対応の券売機を導入するだけでもは安いもので数十万円、しっかりしたものは100万円以上とお安くない費用がかかります。
端末や券売機へ直接支払う金銭だけではなく、スタッフを教育する間の人件費など見えないコストもかかってきます。
経営的な視点では投資した額をどのくらいで回収できるか?という計算もしなければなりません。
維持費用
実際に高い費用を支払って導入したとしても、使い続けるには維持費用がかかります。
- インターネット通信費
- 設備管理費
- 決済手数料
- 振込手数料
など
利用するととても便利なキャッシュレス決済にも当然のことながら手数料がかかります。
そして来館者が利用した分の料金はお店側、つまりは水族館側が負担します。
②技術的リテラシーの壁
新しい技術を導入する場合は、技術的な知識の教育と伝達も正しく行う必要があります。
導入側のリテラシー
導入したとしても、水族館側が設備を扱えないと話になりません。
- スタッフへの教育が必要
- 決済関係の事務的な作業
社員だけでなく、パートさんも操作できるようにするのは大変です。
特に問題が発生した場合のトラブルシューティングができるかが設置する意義としても重要です。
マニュアルはもちろん、操作が単純明快なハードを選定することも重要です。
今まで現金になれていたパートのお母さんは覚えるの大変だわ~と言っていました(分かる)。
利用側のリテラシー
導入した場合は利用する来館者にも伝わるように説明が必要です。
- どんなブランドが使えるのか?
- どこで使えるのか?
- どのように使うのか?
これらを来館前や入館する際に来館者が把握できるように、情報公開や案内板の作成が必要です。
せっかくキャッシュレス決済付き券売機を導入しても、来館者が使い方がわからず有人の窓口で購入するなんてことがあっては本末転倒です。
③運営方針の壁
最後に運営方針の壁について紹介します。
上記のコストや技術リテラシーを鑑みて、最終的には経営者や運営者が導入の判断を行います。
【導入に踏み切れない理由の例】
- コストの問題
- 導入する時間がない
- 現場の状況を把握していない
- 運営に明るくない、興味がない
- 利益率が下がる→損するイメージがある
- キャッシュレス決済の利点を理解していない
- 保守的で、革新を敬遠する
など
①や②は特に人数の少ない水族館であれば、日々の業務で忙殺されこのような新しいものを取り入れるというのにはまとまった時間とエネルギーが必要です。
また、③や④なんてことあるのかよ?と思うかもしれませんが、事務所にこもって日がな一日を過ごす上司などがいると十分あり得る話です。
ちなみに勤めている水族館でキャッシュレス決済を導入する際に一番の壁になっていたのは「手数料」と「どの業者に頼めば良いか分からなかった」だったようです。
管理人の個人的な意見
水族館でキャッシュレス決済を導入する箇所というのは
- 入館チケット販売
- ショップ・レストラン
この2つが多いと思います。
キャッシュレス決済は現場の状況を鑑みつつ、特に売店には導入するべきだと思います
- 感情や先入観を切り離し、数字で論理的に判断する
- お客さん目線と運営バランスを考える
数字を出して論理的に判断する
まず一番大切なのは、設置するかの権限を持つ人間が数字でしっかり判断できるか否かです。
前述した維持費や手数料といった見えるコストだけでなく現在の現場の見えないコストもしっかり出して判断する必要があります。
- 売上のデータ化(可視化)
- 見えない人件費の削減
- ヒューマンエラーの軽減(判断の減少)
忘れてはいけないのが現場にいるのは人間です。
無駄なことが積み重なることで使う必要のない判断力・思考力・体力などが減っていきます。
これらが減っていくことで小さなミスが起こり、重なることでクレームなどの大きな問題に繋がっていきます。
目に見えるコストだけではなく、見えないコストも鑑みてプラスになるなら迷わず導入するべきだと個人的に思います。
来館者目線と運営バランスを考える
現場の声に耳を傾けたり、アンケートなどを参考にしたりなど色々あると思います。
ただ、キャッシュレス決済をなんでも全て揃えるというのは割に合わないイメージです。
入館料も高く、人数も多いところであれば良いと思いますが、小さくて人数も少ないような水族館は戦略的に「何を捨てるか?」を考える必要があります。
そうした来館者と運営との良いバランスを見極めていくのが管理人が務めるような小さき水族館には必要だと思います。
お客さんが価値を感じる展示や企画などに時間や労力をかけるべきです。
そのためにはいかに事務作業などを減らせるかが重要です。
ブランドの選定としては、前回のキャッシュレス調査を参考に自分の水族館と同様の価格帯、立地、規模の水族館を調べて導入するのも手だと思います。
また、来館者属性を把握しているのであればそこから逆算して導入するのも良いでしょう。
個人的には小規模水族館であれば、
- クレジットカードであればVISA(特に売店)
- 電子マネーであればSuica、iD、QUICPay(特に入館料)
- QR決済であればPayPay(特に入館料、売店)
のうち一つでも導入できればある程度カバーできるかな、と思います。
導入への個人的な意見
ショップ・レストラン
現場を見ていると、
- 現金のみだと顧客の購買意欲に悪影響
- 釣り銭の計算・受け渡しに時間がかかる
- 小銭の補充・両替の作業時間がかかる
- 毎日のレジ締めが大変
- 売上データを分析・活用できていない
これらの理由からせめてショップ・レストランには導入した方が良いと個人的に思っています。
最近は現金をあまり持ち歩かない状態でお土産でいざという時の現金を使ってしまうのは心理的に負担になる気持ちはとてもわかります。
めだかも実際に経験していますが、繁忙期の現金決済はお釣りの渡す作業などが本当に大変です。
そうした判断力を減らす意味でも、手数料分の価値は大いにあると思います。
入館チケット販売
小型水族館では一考の余地があると考えています。
というのも、受付の一番の目的は「来館者をスムーズに館内に案内する」ことだからです。
キャッシュレス決済を導入することで逆にスムーズにならない場合があります。
現場を見てきた問題点として、以下のことが挙げられます。
1)来館者が券売機の仕様を理解できない場合
2)クレジットカードは時間がかかる
3)受付に色々な機能を持たせすぎるとパンクする
1)来館者が券売機の使用を理解できない
まず、水族館に初めてくる来館者は一目で初めて触る機械を理解し操作しなければなりません。
若い人ならいざ知らず、高齢の方にはハードルが高いです。
結果手売りよりも時間がかかる場合が多々あります。
2)クレジットカードは時間がかかる
次にクレジット決済ですが、主なキャッシュレス決済の中で一番時間がかかります。
大型水族館であれば複数の受付とカード決済対応の券売機を導入することで対応できますが、人員の少ない小型水族館で行うと行列の原因になってしまいます。
券売機も高いので複数設置というのも現実的ではありません。
3)受付に色々な機能を持たせすぎるとパンクする
小さい水族館では受付一つに対して色々なことを兼任する必要があります。
- 入館チケット販売
- 団体受付
- 来客者対応
- 年パス発行
- 館内案内
- 体験イベントの申し込み
- 情報発信
- 館内掲示の作成
- 館内放送
など
一人の時間が取られると途端に厳しくなります。
これには水族館自体の構造・導線も大きく関係してきますが、本当に考えて作られた施設はみれば一目瞭然です。
入り口すぐにチケット販売だけに特化した受付があって、他の業務に対応する場所が別にあるととても機能的だととある水族館を見て思いました
以上の問題点の解決策として、
- お釣りのでないシンプルな価格の現金決済
- 電子チケットなどの事前決済制の導入
で対応できるかなと思っています。
入館料を500円単位で設定している水族館だとお互い細かく計算する必要がなく、手売りの方が圧倒的にスムーズです。
一般料金と学生料金が500円単位の水族館は恐らくこうのような受付の問題もしっかり考えて設定していると思います。
ただ、キャッシュレス決済の需要を満たせないので、そこは希望者に事前に決済してもらう電子チケットを導入すれば解決できます。
そもそも入館受付という作業をスキップできる為、繁忙期には受付の強い味方になります。
専門の機械を水族館に実装せずとも導入できる為、積極的に活用したいものですね。
まとめ
今回は小規模の水族館でもキャッシュレス決済を導入するべきかについて個人的な見解を解説しました。
やはり大切なのは運営者、経営者が目に見えるコストだけでなく、現状の見えないコストまでしっかり考えられるかだと思います。
現場がいっぱいいっぱいなのに、やることだけを増やしていってもパフォーマンスは期待できません。
無駄なことを見直し、取捨選択をして現場の時間を確保していくことが水族館運営者に必要な仕事です。
自分たちの都合と同様にお客さん側の利便性を考え、お客さんが対価を払うための障害をできるだけ取り除いておくという意識を持たないといけないな〜と個人的に思いました。
その為には現場に出てお客さんの観察や行動心理学などの知識が必要になってきます
コストを考えつつ、より良い運営を目指す投資判断の第一歩としてIT技術は割りに合う投資だと思います。
キャッシュレス決済に限らず、データ収集やデータ処理などIT技術が得意なことは任せて、水族館におけるお客さんへの問題解決という付加価値の高い作業に時間をかけていくことを意識したいと思います。
今回はだいぶ運営よりの話でしたが、水族館をより発展させていく為にIT技術への理解と投資判断は重要なことだと思っています
管理人と同じように将来運営や経営を目指している方の参考になれば嬉しいです
本日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またのご来館をお待ちしております!