こんにちは!めだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
水族館の生き物にエサを与えるまで
今日は水族館で飼育している生き物のエサやりついて基本的な流れを解説していきます!
これを読むとどのような流れでエサが与えられているか理解できるようになります!
どのような作業を経て、飼育員が餌付けを行っているのか一部分でも覚えて帰ってください!
また、水族館飼育員になるにおいて必須の業務ですので覚えておいて損はありません!
それではいってみましょう!
水族館の生き物にエサを与えるまで
水族館飼育員が生き物にエサを与えるまでの大まかな流れを図にしてみました
【水族館の生き物へのエサやり】
①生き物の食性を知る
②エサを入手する
③調餌する
④生き物に給餌する
全部で4つのステップを踏みます
それぞれ見ていきましょう!
※エサを漢字にすると餌ですが、読みづらいことを考慮して当記事ではエサと表記します
生き物の食性を知る
まずは生き物の食性を知ることです
【食性とは】
動物が食べる物の種類・食べ方の習性のこと
エサを与えるにしてもその生き物は何を食べているのかを理解していないと長期の飼育はできません
なので飼育する生き物の食性を調べる必要があります
調べ方には以下の方法があります
1)書籍・インターネットで調べる
2)詳しい専門家に聞く
3)実際に飼育して調べる
4)水族館が培った知見・経験を活用する
1)書籍・インターネットで調べる
分からないことは書籍やインターネットで調べるのは水族館でも変わりません
最近はブログやSNSで情報発信している方もいるのでより詳しく知ることができます
2)専門家や詳しい人に聞く
専門家や詳しい人に聞くことで書籍・インターネットより濃い情報を得ることができます
飼育したことがない生き物について、その生き物を趣味で飼育していたり、研究のテーマとして飼育している人に聞くことがあります
3)実際に飼育して調べる
実際に飼育してみることでわかることがたくさんあります
飼育員が試行錯誤しながら得た知識が水族館の展示をより素晴らしくなっています
4)水族館や飼育員が培った経験を活用する
1)~3)で得た知識が水族館の経験として蓄積されると適切なエサを与えることができるので、長期飼育が可能になります
この経験があればあるほど、多くの種類の生き物を展示することが可能になります
水族館が多くの種類の生き物を同時に長期に飼育できるのは、水族館が生き物の食性の知識・経験を長年蓄えられているからです
エサを入手する
次にエサの入手についてです
飼育している生き物や運営状況に合わせたエサの種類を選び、業者さんから購入します
当たり前ですが、飼育数や飼育種類が多い水族館ほどエサの種類や量が増えます
大規模な水族館では、エサの在庫管理をしっかり行わないと、次回のエサの発注時に何をどのくら頼めばよいか分からなりやすいため、飼育員同士の情報共有が欠かせません
どのような種類のエサががあるかというと、大まかに分けて以下のものが挙げられます
・生餌
・冷凍餌料
・人工餌料
詳しくはこちらで解説しているので参考にしてみてください
イルカやアザラシなどの海生哺乳類を飼育している場合は、コストが高くなる傾向があります
エサを入手できればあとは与えるだけ…!と思ってしまいますが、そうはいかないのが飼育の難しい所です
エサの種類はもちろん、同じエサでも魚の種類や大きさが違えば食べれる食べれないが出てきてしまいます
そこで必要になってくるのが次の調餌作業です
調餌
調餌という言葉を初めて聞いた人もいるかもしれないので軽く説明しますね
【調餌とは?】
・調餌と書いて「チョウジ」と読む
・エサを調理し、与える生き物に最適なエサにすること
聞きなれない言葉ですが、実際インターンシップや実習などで
○○さん、××水槽用の調餌作業をお願いします
と指示されるかもしれないので覚えておきましょう
管理人はチョウジをジョージと聞き違え、「他に調餌ありますか?」を「他にジョージありますか?」と聞いた記憶がよみがえり、一人もだえる時があります
調餌作業
調餌を考える時には以下の4点に配慮することが大切です
与える生き物の口径
嗜好性
危険の除去
栄養価
与える生き物の口径
エサが用意できても、生き物の口に入らなければ意味がありません
与える生き物の口径(口を開いたときの長さ)を想定しながら、エサを切り分けることが大切です
魚の口径に関する研究 代田昭彦(1969) より引用
嗜好性
生き物によって食べるエサの種類も異なります
例えば、魚類でも魚種によって油分が強いエサは好まなかったりします
実際に飼育することで初めて気づくこともあるので日々の観察が重要です
危険の除去
病気やケガのリスクを少しでも減らすために、生き物に与えるエサは安全な状態にする必要があります
エサの魚は丸ごと食べるけど、時々釣り針やゴミがある時があるから、飼育員さんがいつも取り除いているよ~
栄養価
自然界で食べる物と、水族館で与えるエサは異なるため栄養価についても考える必要があります
特に水族館で多く利用される冷凍餌料は、解凍したときに水分と一緒にビタミンなどの栄養素が流れて出てしまいます
流れ出た栄養素を補うため、栄養強化が重要になります
栄養強化についてはこちらで詳しく解説しているので参考にしてみてください
調餌の作業例
簡単にどんな作業を行うか一例を紹介します
・与えるエサの種類・量を把握しておく
・冷凍されている場合は、流水などで解凍する
・余分な部分を取り除く(鰓、内臓、骨など)
・給餌する生き物に合った大きさに切り分ける
・栄養強化を行う
・与える生き物・水槽ごとにエサを分ける
調餌の細かい作業は水族館ごとに異なるので、インターンなどで学ぶとよいでしょう
あともう一息です!もう少しお付き合いください!
給餌
最後に給餌についてです
ここまでくれば皆さんが水族館で普段見ている、いかにも飼育員の仕事!の作業になります
あとは生き物の口に入るだけだぁ!!
そううまくいかないのが、生き物なんです…
何が難しいかというと、生き物がエサを食べない場合があるためです
生き物がエサを食べない(摂餌しない)原因に以下のような要因が挙げられます
・口径に合わない
・嗜好性が低い
・警戒
・他の生き物との競争
・満腹
・衰弱
・認識できていない
など
これらの要因を少しでも減らすために調餌作業を行ったわけですが、給餌する際にもポイントがあります
それは冒頭でもお話しした「食性」について知ることです
食性が大事だと頭に置きつつ、3つのポイントを紹介します
1)給餌頻度
ⅰ)肉食性か植物食性か
ⅱ)種による違い
ⅲ)成熟の度合い
2)給餌量
3)給餌方法
1)給餌頻度
給餌頻度とはエサをどのくらいの間隔で与えるかを考えることです
これは大きく分けて3つの条件から判断します
ⅰ)肉食性か植物食性か
ⅱ)種による違い
ⅲ)成熟の度合い
ⅰ)肉食性か植物食性か
まず生き物が肉食か草食(植物食)かを判断します
肉食動物は栄養価の高い生き物を食べるため、一度の食事を終えると、ある程度食べなくてもよくなります
植物食動物は消化に時間を要する・栄養価の低い植物を食べるため、連続した食事をとり、量をとることで栄養をとります
このように食べるものによってエサを与える頻度も考える必要があります
そのため、冒頭でお話ししたように飼育する生き物の食性を知ることが重用です
ⅱ)種による違い
同じ肉食でも、体のサイズや消化時間、何をエサにしているか異なります
マグロとメダカではエサの種類も量も違いますよね?
種ごとに給餌頻度を分けなければ適切な給餌ができない可能性がでてきます
ⅲ)成熟の度合い
種によっては成熟度合によって食性が変わる場合があります
例えばアユは稚魚の時には動物プランクトンを捕食する肉食性ですが、成熟の度合いによって昆虫を捕食したり、付着藻類を食べる植物食性に変化します
以上が、給餌頻度を考えるためのポイントです
ただ、水族館によっては管理の都合上、あまり考えられていない場合もあります
しかし、給餌を考える本質的な考えなので覚えておいて損はありません
2)給餌量
どのくらいの量を給餌するのかは水族館によって異なると思います
ただ、重要になるのは生き物の体重です
体重をベースに比率を出し、一日の給餌量を決めていることも多いです
ただ、生き物である以上、私たちと同じように調子があります
そのため、毎日同じ量を必ず摂餌するとは限りません
重要なのは飼育員が日々観察を重ね、状態の良しあしを過去と比較し、与える量を見極めることです
まず少量を与え、食い気があるかを確認し、量を調節するといった工夫が必要になります
3)給餌方法
普段自然で生きてきた生き物にとって、飼育員は何をしてくるか分からない警戒するべき相手です
そこで、飼育員が目指すのは生き物に以下のように思ってもらうことです
飼育員=エサをくれる=有益な生き物と思ってもらう
そのために最大限警戒を和らげる行動を心掛ける必要があります
大きい音をたてる
素早い動きをする
急な環境の変化を作る
動揺した精神状態で給餌
特に搬入されて日が浅い生き物や、臆病な性格の生き物の飼育には注意が必要です
時にはパニック状態になり水槽にぶつかるなどして負傷したり、水槽の外へ飛び跳ねる危険があります
なるべく音をたてない
ゆっくりと動く
できるだけ環境を変えない
平静な精神状態で給餌
管理人は生き物は自分を映す鏡だと心掛けて給餌や飼育を行います
相手が人間でも鬼気迫るような形相で飯食いに行こう、なんて誘ってきたら怖いですよね?
危害を与える気はないと心に思い浮かべて生き物と接してみてください
まとめ
今回は水族館の生き物にエサを与える(給餌)までの流れを解説しました
飼育員が生き物の食性を理解する
エサを入手する
与える生き物の最適なエサに調餌する
最大限警戒をされないように給餌する
給餌作業は水族館飼育員の仕事の醍醐味であるとともに、重要な仕事です
給餌の際が一番飼育している生き物を近くで観察できます
体調不良や病気の兆候は摂餌中の生き物を観察することで見つかることが多いです
水族館で飼育している生き物は対話できない以上、
飼育員が生き物に歩み寄り、わずかなサインを見逃さないようにする
ということが大切です
長くなりましたが、本日はここまでです
次回も一緒に水族館について学んでいきましょう!
ありがとうございました!