こんにちは!管理人のめだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
水族館の生き物に与えるエサについて②
多種多様な水生生物を常に飼育している水族館ですが、その裏側では生き物への世話は欠かせません
今日の記事を読めば水族館の生き物の健康に直結するエサ(餌料)について理解できます
インターンシップや実習に活用できる知識なのでぜひ覚えて帰ってください!
それではいってみましょう!
前回の内容はこちら↓
水族館で利用されるエサ
はじめにどんなエサ(餌料)があるか見ていきましょう
水族館で利用されているエサの種類は大きく分けて以下の3つです
1.生餌
2.冷凍餌料
3.人口餌料
この3つについて詳しく解説していきます!
今回視覚的に分かりやすいよう、エサの長所・短所をレーダーチャート化してみました
レーダーチャートは以下の8点について評価したものになっています
嗜好性 :生き物が好んで食べるか
栄養価 :生育に必要な栄養があるか
入手しやすさ :手に入りやすいか
病気への安全性 :与えた生き物に対する病気への安全性
水質維持 :水を汚しにくいか
価格の安さ :値段が安いか
保存性 :保存のしやすさなど
手間のなさ :調餌や給餌の手間が少ないか
これらを見比べながら、管理人の所感をまじえながら解説していきたいと思います!
では、それぞれみていきましょう!
レーダーチャートの評価はあくまでも管理人の評価なので、目安程度に見てもらえればうれしいです
冷凍餌料とは?
生餌に続き今回は冷凍餌料について見ていきます
冷凍餌料とはその名の通りエサを冷凍したものです
嗜好性 :4
栄養価 :2
入手しやすさ :4
病気への安全性 :5
水質維持 :3
価格の安さ :3
保存性 :4
手間のなさ :2
冷凍餌料のメリット
〇冷凍設備があれば長期保存が容易
〇病気(特に寄生虫)への安全性が高い
皆さんの食卓にも時たま見かける冷凍食品のように、冷凍庫があれば低温で長期間保存が可能なのが冷凍餌料のメリットの1つです
保存がきくということは、業者側も保存や輸送の管理がしやすいため結果的にコストも下がるので、安定して入手できます
また、冷凍餌料の最大の特徴は寄生虫の感染リスクがないということです
寄生虫や寄生虫の卵は-25℃以下でほぼ死滅することが分かっています
安定して入手でき、病気のリスクを減らせるということで水族館では重宝されます
因みに寄生虫として有名なアニサキスは-20℃で24時間以上、中心部まで冷凍すれば死滅するといわれています
冷凍餌料のデメリット
〇調餌の手間がある
〇解凍するとに栄養価が著しく下がる
調餌の手間がかかる
一方で冷凍餌料は調餌(エサを生き物が食べやすいように調理すること)作業をする必要があります
冷凍された状態を与えるわけにはいきませんので、流水などで解凍します
それから、魚の食べやすい大きさにエサを切ったりなどの作業が入ります
規模の大きい水族館や、イルカなどの一日で多くのエサを必要とする生き物を飼育している場合、午前中は調餌作業で終わってしまうなんてこともあります
解凍するとに栄養価が著しく下がる
冷凍餌料は解凍の過程で水と一緒にビタミンなどの必要な栄養素も流れ出てしまうデメリットもあります
ですので、解凍したエサをそのまま与えると、与えているのに栄養不足になってしまうなんてこと起きるので注意が必要です
この問題をどのように解決するのかは、あとで解説します
総合的な評価
水族館の運営的に有用性の高いエサ
水族館がエサを選ぶうえで重要な条件として「安定して入手できるか」という点だと管理人は考えています
冷凍餌料は水族館には欠かせないエサであると言えるでしょう
実際に水族館ではどのように活用しているんだろう?
という疑問も出てくると思いますので、最後に実際の水族館での活用例を紹介して終わりたいと思います!
水族館の冷凍餌料活用例
水族館で利用される冷凍餌料の例を紹介します
【冷凍餌料の例】
〇海水魚(アジ・シシャモ・キュウリウオ・イカナゴ・サンマ・マグロなど)
〇その他海産物(イカ・オキアミ・ホタテなど)
〇赤虫
次にこれらをどのようにして生き物に与えていくのか見ていきましょう
冷凍餌料を解凍
流水や解凍用の冷蔵庫などで解凍します
解凍の過程で、水分とともに栄養素・たんぱく質・油などが溶け出したドリップと呼ばれるものが出てきます
ドリップを水槽に入れて今うと水質悪化の一因となるので、ある程度取り除きます
解凍した冷凍餌料を調餌
解凍した冷凍餌料を与える生き物に合わせて調餌(エサを調理すること)していきます
具体的には以下のような作業を行います
魚類に与える場合の例
①内臓・鰓・中骨などを落とす
②包丁で適切な大きさにカットする
③与える水槽ごとに取り分ける
④栄養強化を行う
海生哺乳類に与える場合の例
①エサとなる魚の外観を損なわないように鰓や内臓を取り除く
②栄養強化を行う
③氷の入ったバケツに個体別に取り分ける
ここまで行って給餌(エサやり)が行えます
栄養強化とは?
栄養強化とは、解凍して栄養価が下がる冷凍餌料のデメリットを補うために行う作業のことです
水産養殖で使われる粉末状の栄養剤や人間などが服用するようなカプセル状のビタミン剤など種類は様々です
これで冷凍餌料のデメリットを相殺できるのですが一点注意があります
栄養強化を行ったエサは嗜好性が下がる場合がある
栄養強化を行うと、エサを与えても食いつきが悪くなることがあります
特に海生哺乳類は、人間のようにビタミン剤を単体で服用することはありません
そこで、好物のエサに栄養強化剤を紛れ込ませて必要な栄養素を与えます
海生哺乳類はエサとなる魚を丸のみにするので、エサの魚の中にビタミン剤を入れるとスムーズに与えることができます
このように問題を解決しても、新しい問題がでてくることは多々あります
出てきた問題を工夫で解決していくことが飼育員の醍醐味だと思います!
次回は残る人工餌料について解説していきたいと思いますので、次回も水族館について学んでいきましょう!
今日もご来館ありがとうございました!