こんにちは!当ブログの管理人で水族館飼育員のめだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
【シリーズ連載】
ブログに多く寄せられる質問に飼育員である管理人が答えます
今回はブログをみて飼育員を目指す学生の皆さんなどから寄せられた質問の中で、
- 多くいただいた質問
- これは大切だなと思った質問
の管理人のめだかなりの回答を紹介していきます!
結構飼育員を目指す上で大切なことが詰まった質問・回答になっているので、飼育員を目指す方はぜひ参考にしてみてください!
たくさん寄せられた質問たちを今回は、以下の6つにまとめてみました。
- 大学選び
- 資格について
- 飼育員の適正について
- 就活について
- 仕事について
- 番外編(おまけ)
今回は仕事編第4回ということで、小さい水族館の方が仕事は楽か?という質問について解説します。
小さい水族館の仕事は楽か?
大きい水族館と小さい水族館では仕事の大変さは変わるでしょうか?
また、小さい水族館は大きい水族館よりお金がないから飼育設備もそこまで立派ではないとのことでしたが、仕事も大きい水族館より簡単だったり楽なのでしょうか?
趣味や副業を考えた時、本業はあまり負担が無いようにしたいのですが、考え方を教えてください。
このような質問をいただいたので回答していきたいと思います
楽かどうかは答えられない
働き方で自分はどちらが向いているか考える
というわけで、大型水族館と小型水族館の働き方の違いの傾向を紹介して、各自で判断してもらえればと思います
今回で同じ水族館飼育員でも働き方が結構違うことを分かっていただけると思います!
規模が違うと別業種だと思った方がいい
まずみなさんに覚えて帰ってほしいのは、規模が違うと同じ水族館飼育員でも全く別業種だと思った方がいいです。
個人的には規模の大きさで以下の傾向があるかな?と思っています。
働き方の違いを一言で表すなら…
大型水族館の傾向:専門的な働き方(狭く深い)
小型水族館の傾向:万能的な働き方(広く浅い)
これに各館の所在地や運営方針も影響
ですので質問に回答するなら、質問者さんはどちらの働き方が好みか?という話になります
大型水族館で働いていないので回答はできませんが、各規模の水族館特徴を知ることで判断することはできると思います
それでは大型水族館・小型水族館の特徴をそれぞれ見ていきましょう。
大型水族館と小型水族館というのは、今回の質問への回答を分かりやすくするために当ブログで独自に呼称している呼び方です。
当たり前ですが本来は大から小の規模がグラデーションになっています。
これらを明確に線引きするのは難しく、あくまでもめだかの感覚的な呼称だということはあらかじめご理解ください。
館によっては当てはまらない場合もあるのであくまで参考程度に留めていただけると嬉しいです。
大型水族館の働き方
【業務】専門的な業務
【役割】チームワークの重要性が高い
【展示】多様な展示内容、先端設備と技術
【貢献】研究と教育活動
【企画】規模の大きいイベント
【運営】安定した組織運営
1.専門的な業務
大型水族館では多種多様な飼育生物がいるため、特定の種や生態系に特化した専門の飼育部署があることが多いです。
人数の少ない、お金のない水族館であれば、様々な業務を兼任するところを、大型水族館では飼育のみに専念できます。
そのためより専門的な知識や技術を身に着けることができます。
水族館の役割の1つでもある「調査・研究」に力を入れている水族館では、勤務時間中に調査や研究を行う時間が確保されています。
学会や研究会で発表する機会も多く出てくるでしょう。
飼育のみに集中してより自分の専門知識を深められやすい環境にあるのが大型水族館です
2.チームワークの重要性が高い
多くのスタッフと共に働くため、チームワークが非常に重要です。何かを一人でやるのではなく、各自に役割が分担され、大規模な展示や企画に取り組む必要があります。
また、新人スタッフとして配属された時、先輩飼育員がしっかり教育してくれることが多いのも人数の多い、大型水族館の強みです。
自分がもし休んでも代わりの誰かが穴を埋めてくれるという安心感は働いていて精神的にもとても楽だと思います(申し訳なさはありますが)。
大型水族館の専攻でグループディスカッションが多く採用されるのはこのような背景があるからです。
ただし、仕事を放棄するチームワークの反対側にいるような人間が紛れ込んでいる場合もあります。
役職やチームリーダーなどの組織の重要ポジションにいる時は地獄絵図が待っているので黄色信号です。
それでも多くの人の関われるというのは、自身の成長にプラスになると思います。
3.多様な展示内容、先端設備と技術
1.で説明した通り、規模が大きいと多種多様な生物が飼育されます。
また、プロジェクションマッピングや電子解説版などといった、最新の技術が導入されることが多く、身近に触れる機会が増えます。
よく他館様の企画展の情報などを見ると、
- でかでかとした企画展の掲示
- 展示室中に張り巡らされた統一感のある壁
- 専用の水槽レイアウト
- 期間限定とは思えないお高い(だろう)生体
と毎回度肝を抜かれます。
こちとら大判印刷なんてA3用紙のラミネートで精一杯です
濾過設備に関しても、他水族館様のバックヤードを見せていただいたことがあるのですがその技術の進歩に驚かされました。
専門の方が管理しないと分からないんじゃないかというぐらいシステムが複雑なものもあり、理解が追い付きませんでした。
イカゲソの空箱を加工して濾過器を作る自身の水族館事情を考えると、視界の漏水が止まりません。
4.研究と教育活動
1.でも少し触れましたが、飼育だけでなく、水圏生物の研究や教育プログラムの開発に力を入れています。
大学や民間企業の研究プロジェクトに参加したり、情報提供などもあります。
特定の生き物を長期かつ毎日観察できるというのは、多くの情報を得ることができ、水族館だからこその強みです。
最近は来館者向けにSDGsの取り組みといった教育活動もしてますよね。
5.規模の大きいイベント
資金を多く投じることができる大型水族館は特別展示や大規模なイベントを行うことが多いです。
企画チームは別なこともあるので、イベントのマネジメントなどが学べるかは館によりけりだと思います。
ちい●わやあ●もりなどとコラボして認知の向上と新しい客層を発掘することができます。
もちろんお金の少ない小さい水族館ではできません…。
6.安定した組織運営
人数が多く、組織としての仕組みがしっかりしているため、少数のヤバい職員がいようが、急病でスタッフが休もうがある程度安定して運営することができます。
紹介した通り、組織としてのサポートも手厚い傾向にあるため、飼育員としての能力も自ずと向上できる良い環境だと思います。
小型水族館の働き方
- 【業務】多様な業務
- 【役割】個人の裁量と責任
- 【展示】特化した展示内容、地域性の高い展示
- 【貢献】地域社会との結びつき
- 【企画】パーソナルな体験
- 【組織】トップ次第で化ける柔軟な組織運営
1.多様な業務
スタッフの人数が限られるため、飼育業務だけやっていれば良いわけではなく運営に関わる幅広い業務を兼任することがあります。
- 館内の清掃、ゴミ捨て
- 売店での販売
- 入場整理
- 施設機材のメンテナンス
- 企画展の広報
- オリジナル商品の開発
など
飼育のみならず色んなことができるようになります
その水族館で自分が何をしたいのかはっきりしていると働き甲斐があります
ただし、数少ない上司がヤバい人だと、雑用を押し付けられ、飼育の仕事はできず「自分は一体なぜ働いているんだ?」と精神を病んでしまう危険もあるので適切な職場かどうか見極める必要があります。
2.個人の裁量と責任
一人一人の裁量が大きく、コーナー一体の水槽を一人が担当するなど、自由の高い仕事ができる反面、個々の責任も重くなります。
個人的にはこれこそ小型水族館の最大の魅力だと思っています
金もない、人もいない、時間もないのナイナイ尽くしの中で「じゃあどうやるか?」をしっかり考えることは大変でもあり、やりがいでもあります。
また、上司が一から指示してくれることはほぼないので自ら積極的に考え、動き業務を行う自主性が求められます。
指示待ち人間の対極にいるのが小型水族館飼育員(であるはず)なのです。
3.特化した展示内容、地域性の高い展示
予算や設備が限られるため、何かに特化した独自の展示内容になります。
大型水族館にはない飼育員個人の独創性や工夫がある展示なども生まれます。
また、その地域の生態系や文化を反映した地域性の高い展示も多いです。
持たざる者たちでもないなりの戦い方ができるということです!
4.地域社会との結びつき
地域社会に根ざした活動が多く、地域の学校や自治体と連携した活動への参加などもあります。
人が少ない中でも出前水族館やワークショップなどを上手に開催している水族館もあります。
とはいえ、大型水族館の中でもブランドに特に気を使っているところは地域社会との関わりにもしっかり力を入れています。
逆を言えば地域社会との関わりが密接な大型水族館は候補として間違いないと個人的に思います。
5.パーソナルな体験
小さいながらのアットホームな雰囲気や来館者が少ない時はより直接的なコミュニケーションを取る機会が多いです。
自分次第で水族館や自分のファンができることもあり、モチベーションにつながります。
小さい子が名前を覚えてくれたり、親御さんの印象が最高になってショーで滑っても暖かな雰囲気に包まれる。。。そんな感じです。
6.トップ次第で化ける柔軟な組織運営
小型水族館は、働く人間の影響が良くも悪くも強く反映されます。
一人一人の意見が直接反映されやすく、言った次の日に即実行なんてこともあり新しい改善提案が実現しやすいです。
人数の多い大型水族館は実行までのプロセスが遅く、修正が多く入り、なかなか苦労するようです。
ただ、組織のトップが情熱もない、無能だったりすると現場が疲弊するだけなので注意が必要です。
小型水族館で働く際は、トップが結果を出しているかや考え方、情報発信などしているのかと言った点に注目すれば目に見えた地雷は避けられます。
まとめ
今回大きい水族館と小さい水族館では仕事の大変さは変わるか?という質問に対して、働き方を理解して自分で判断していただくために解説しました!
【業務】
大型:専門的な業務
小型:多様な業務
【役割】
大型:チームワークの重要性が高い
小型:個人の裁量と責任
【展示】
大型:多様な展示内容、先端設備と技術
小型:特化した展示内容、地域性の高い展示
【貢献】
大型:研究と教育活動
小型:地域社会との結びつき
【企画】
大型:規模の大きいイベント
小型:パーソナルな体験
【運営】
大型:安定した組織運営
小型:トップ次第で化ける柔軟な組織運営
ご覧の通り、規模が違うと別業種のように働き方がガラリと変わるので自分に合った働き方はどちらか考えてもらって、就職先選びの参考にしていただければと思います!
規模と働き方が合致しない水族館は要チェック!!
一点覚えておいて欲しいのは、小型水族館なのに働き方は当てはまらない場合もあります。
そういう水族館には何かしらの理由があるので要チェックです!
例えば小型水族館であるのに、
- 研究もしっかりやっている
- 仕事が専門的である
- 毎年採用がある
といった大型水族館の働き方に当てはまる場合は、運営者の考え方が色濃く反映されている場合があります。
人もお金もないはずなのに専門的な研究の資金や時間の捻出、新しい人員を雇えるということはつまり、、、?
そんな感じで、その水族館の裏側の特性までしっかり把握できればより良い環境で働けると思います!
もし実際に働いてみて自分と合わないと思ったら環境を変えてみるのも手です!
今回は以上です!
本日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またのご来館をお待ちしております!