こんにちは!水族館飼育員でブログの管理人めだかです!
今日も水族館について解説していきます!
今日のテーマはこちら!
小型水族館の企画展示ができるまで
年内の繁忙期の1つであるGWが過ぎたのもつかの間、今度は夏休みがやってきますね!
GWから最近はブログの更新もできず、ヒィヒィ言いながら企画展準備をしていためだかです…笑
今回は水族館飼育員の仕事の醍醐味ともいえる、企画展の準備を行っていためだかが自分のやり方なりに解説していきます!
インターンではあまり触れれない内容なので、飼育員を目指す方は一つの参考にしてください!
それではいってみましょう!
企画展示とは
そもそも企画展示ってなに?という方に企画展示について簡単に解説します。
あるテーマに沿った展示を期間限定で行う展示会
企画展:自前で資料(水族館なら生物や標本)を用意し、テーマに沿って展示すること
特別展:外部から資料を集め、テーマに沿って展示すること
上の二つが合体したものを特別企画展示とも呼びます
今回の記事では企画展と特別展を合わせて企画展と記載します
期間限定で、いつもの展示と違うことをやってるな~=企画展だと思ってもらえれば大丈夫です。
この企画展や特別展を行うことでどんなメリットがあるのか紹介します。
- 新鮮な展示
- 知名度アップ
- 他水族館や企業との関係構築
- 飼育員のスキルアップ
新鮮な展示
水族館の特性ともいえますが、同じ展示はだんだん飽きられてくるんですよね
そこで!企画展という形で新しい展示を試みることで、いつも来てくれる常連さんも久々に来たお客さんも満足度が上がるというメリットがあります
知名度アップ
企画展をするにあたって広告宣伝などを行い、自分たちの水族館を知らない人たちへ知ってもらう機会が増えるメリットもあります
知名度が上がれば新規顧客も見込め、水族館の売上に繋がります
現在のスマホ社会では訪れたお客さんが自分たちで水族館のことを発信してくれる時代です
中には発信したものがバズって一気に注目を集める…なんてこともあります
他水族館や企業との関係構築
特別展を行う場合は外部との関係が必要不可欠です
特別展を進める上で今まで関わりのなかった水族館や企業同士で関係を持ったりすることもあります
飼育員のスキルアップ
企画展は水族館にいつもある展示「常設展示」とちがい、今まで挑戦したことのない試みを行うことがほとんどです
このような新しい挑戦は、確実に飼育員のスキルアップにつながります
メリットを見たところで、本題のどのように企画展ができるのか見ていきましょう!
企画展ができるまで
今回はじめて、企画展を自分主体で行うことになっためだか
実際にどんな感じで進めたのか、参考程度に見ていってください
(他水族館様と違うところもあるかも?)
企画案作成
まず企画の元になる案を考えます
大体以下のことを概算で出して、展示計画を建てます
展示概要以外は上司がある程度決定していることが多いため、展示概要を考えることがメインになる場合もあります
【企画案で考えること】
- 展示概要(どんなことを伝えたいのか)
- 企画のスケジュール
- 時期
- 場所
- 予算(上司との相談)
- 担当
あれ?どんな生き物を展示するのかは決めないの?
水族館では生き物を展示するために企画展を考えるというよりは、展示の方向性を決めてか
ら展示する生き物を決めるという順番になります
まず企画展のコンセプト(目的を)しっかり固めないと、準備を進めるうちに企画展の軸がずれていくためです
OKが出ればいよいよ企画準備開始です!
展示準備
展示準備と展示作成で企画展を作っていくわけですが、藪から棒にやっても時間とマンパワーが足りません。
なのでめだかはまず大まかに実施要項をもとめて予定表を作成しました。
下の図は実際にめだかが使っていた予定表です。
自分が理解できること、人に手伝ってもらうときに説明できればよいので結構簡単になっています。
出来たところは黄色で塗りつぶし、前倒しできるの物はどんどん進めていきました。
やってみると思うようにいかないことややり直すことが必ずあるので余裕をもたなければ結構大変だったと思います
また、飼育日誌など自分が休みの時に人に頼むことについては、理解しやすいように相手とコミュニケーションしながら時間をかけて分かりやすいマニュアル作成を意識しました!
上記の他に、うちのような小さい水族館では自前でも広報や宣伝も行うので、
- 配荷用チラシのデザインの作成
- SNSへの投稿
- ラジオや取材対応
なども他スタッフと情報共有しながら行いました。
展示作成
企画展の肝ともいえる、展示物は主に4つで構成されます
- 展示資料
- 展示レイアウト
- 会場レイアウト
- 展示解説
①展示資料
企画展のメインでもあるテーマに沿った生物や標本を集めます。
特別展のように外部からも資料を集める場合(特に生物の場合)は、
- 外部とのやりとり
- 飼育方法の確認、習得
- 飼育環境の準備
- 他飼育員への情報共有
と様々な準備が必要になります。
生物を集められても、最低限企画展が終了するまで飼育できなければ本末転倒です
②展示レイアウト
これはめだかが実際に展示をやってみて重要だと感じたことの1つです。
伝える工夫のない展示はお客さんにとって無価値
以前、めだかがインターンに行っていたとき、こんなことを話す飼育員がいました。
今の企画展で展示している○○(生物の名前)さ~、滅多に見れないのにあれほとんど素通りしている人って価値分かってないよね~
もっとしっかり解説見ればよいのに
当時は分かりませんでしたが、今思い返してみればなんてことのない、単なる飼育員の工夫不足な展示でした。
どんなに珍しく価値がある生物や標本でも、お客さんにそれが伝わらなければ珍しさ、価値はないのと同じです
自分の趣味や自己満足なら問題ありませんが、飼育員として働くのならお客さんに価値や学びをしっかり伝える工夫を忘れてはいけません
③会場レイアウト
これも②と同じで、飼育員よがりの展示だとお客さんは興味すらもちません。
例えば怖い生物展を開催するなら、ただ水槽に生物を展示するだけでなく、会場もおどろおどろしい雰囲気にした方がより生物にも興味を持ってもらえる…といった感じです。
これなら生物を見る前から雰囲気によってお客さんが展示生物自体にも興味を持ってもらえる機会が多くなります。
ピラニアナッテリーやトランスルーセントグラスキャットなどがより際立ちそうですね(笑)
水族館内のレイアウトに非日常感とその水族館の世界観をしっかり組み込んでいる水族館は統一感も出て満足度や人気も自然と高いです
④展示解説
①の展示資料と企画展についてお客さんに伝えます。
これも実際にやってみて分かったことです。
ほとんどのお客さんは長く専門的な解説文を読まない
飼育員が伝えたいことを100%解説文に反映させても誰も読んでくれません。
そのため実際に企画展の解説を作成する際は次のことを心掛けました。
- ワンセンテンス・ワンメッセージ(一文一義)
- 1つの解説文の文字数を200文字以内に抑える
- 文字のみではなくイラストで視覚的に理解できるようにする
- オマケでお客さんが共感できるネタも入れる
今回の企画展をする前に作成した解説版より上記を心掛けて作成したものの方がお客さん(特に子供と親御さんが一緒に)に読んでくれることが多かったです
この考えの原点にはめだかも好きな竹島水族館さんの魚に詳しくなくても楽しくなる工夫の凝らされた展示があります
展示開始
ここまで準備出来ればいよいよ展示開始です!
ただ、安心することなかれ、ゴールは企画展が終了するまで。
飼育上のトラブルや展示の改善点、報告書作成用の記録、お客さんからの質疑応答などやること、改善することはたくさんあります。
現在のめだかも給餌用の活エサが★になったり、展示の改良が必要になったりと絶賛改善中です
ただ、自分の知恵や労力を振り絞って作った展示をお客さんが喜んでみてくれる瞬間は確かな満足感と充実感をもたらしてくれます。
お客さんから水族館のことを質問されてまだまだ分からないことも多い管理人ですが、自分が作った展示関係の質問は自信をもって答えることができています。
まさに水族館飼育員の仕事の醍醐味!なのではないでしょうか
振り返ってみて
最後に企画展準備を振り返った管理人の所感をお話ししたいと思います。
企画展準備は孤独な作業
今回、初めて自分が主体となって企画展を構想、準備したのですが思った以上に孤独な作業だったと感じました。
裁量が増え展示の自由度が上がった一方で、限られた時間での準備や相談できるとはいえ自分主体で考えて行動する責任感は強かったです。
準備に並行して普段の業務もこなしていると時間的に間に合わないこともあり、早めの出勤や残業、休日出勤などもありました。
ただ、大変でしたが結果的に自分の性にはあっていて楽しかったです!
人にあれこれ指示されて仕事するより、自分で考えて動く方が好きなので(笑)
解説したような自分なりの工夫を展示に活かしながら企画展を行いました!
展示期間中は、お客さんの生の反応を見ながら良い点・悪い点を見つけて次回の企画展をより良いものにしていきたいと思います!
今回は飼育員の仕事ということで企画展の準備を解説しました!
こんな感じなんだ~くらいでも参考になったら幸いです!
今回は以上です!
本日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またのご来館をお待ちしております!