こんにちは!小さな水族館で飼育員をしている、当ブログの管理人めだかです!
突然ですがみなさんは「さかなのこ」ご覧になりましたか?
引用:『映画さかなのこ』公式サイト
水産分野の最前線で活躍する人物の半生が映画になるとのことなので映画館に見に行った管理人なのでした
ということで今回は「さかなのこ」を見て思う水族館飼育員向いている人について解説します。
- 映画の簡単なおさらい
- 魚が大好きなさかなクンがなぜ水族館飼育員にならなかったのか?
- 趣味と仕事の違い
- どんな人が飼育員に向いているのか?
以上のことを解説していきたいと思います。
普通に見る分にも十分勇気づけられる素敵な映画でしたが、そこはこんなブログを書いている以上、飼育員的な立場から皆さんにお話しできることはないかと考え、お話ししようと思います。
映画の簡単なおさらい
「さかなのこ」はさかなクンの半生をまとめた自叙伝「一魚一会: まいにち夢中な人生!」が原作の映画です。
一魚一会は魚が大好きな男の子「ミー坊」が様々な体験を重ねていく中で現在の「さかなクン」になるまでの道のりを時系列順に短編ストーリーでまとめた本になっています。
映画では、ストーリーに若干の脚色があるものの、「さかなクン」という人物の背景を楽しみながら知ることができます。
さかなクンが女体化しているのは「何かを熱烈に好きになった人」を映画で表現するために性別は重要ではないとのことで、のんさんが抜擢されたそうです。
自分は勝手にさかなのこだから、魚の雌性先熟や雄性先熟などの性転換を表しているんだな…!と思ってたら違いました笑
そのストーリーの中で、「東京水産大学の先生になる!(映画ではお魚博士になる)」と幼いころから夢が決まっていたさかなクン。
以前管理人が紹介した、水族館就職のためのおすすめ大学にもあげていた国立大学です。
【幼いころのさかなクン】
- 捕まえたタコを家のお風呂で飼おうとする
- 毎日さまざまな魚料理を食べる
- 学校の机の中にフグの剥製を忍ばせ授業中触る
- 学校で魚を記事にした「ミー坊新聞」を作る
- カブトガニの人工ふ化に成功
いろいろ常識破りの偉業を残していますが、書籍によると学力が足りず大学進学はあきらめたそうです。
大学の先生の夢が断たれてしまっても、「魚に携わる仕事とがしたい」ということで専門学校在学中から卒業後にかけて魚にまつわる様々な仕事を経験します。
- 水族館実習(東海大学海洋博物館)
- 寿司屋のアルバイト
- 熱帯魚ショップ
魚好きな人が目指すならまず考える水族館飼育員も当時は進路として考えていたようです。
ではなぜ魚が大大大好きなさかなクンが水族館飼育員にならなかったのか本の内容から解説していきたいと思います。
一魚一会はオススメの一冊なのでこの機会にぜひ読んでみてください!
さかなクンはなぜ水族館飼育員にならなかったのか?
引用:『映画さかなのこ』公式サイト
結論を一言でいうなら「自分の思い描いていた仕事と違ったから」です。
はじめはたくさんの魚に出会えて感動していたさかなクン。
しかし、仕事が始まるとほとんど魚と触れ合う機会がないことに気づきます。
実際働いてみると測温、清掃、換水、接客、事務作業とすべての勤務時間が生物にかけられるわけではありません。
担当外の生物をじっくり観察・世話をする時間はほとんどありませんし、時間がない中で効率的に作業をこなさなければならないこともあります。
劇中や書籍の中では、「魚の名前はすぐに覚えられるけど他の作業はからっきしで全く覚えられずいつも怒られていた」とのこと。
恐らく当時のさかなクンが想像していた、「つきっきりで自由にお魚の世話をする仕事」といったイメージとは乖離があったのだと思います。
さかなクンは趣味と仕事の違いを実際に体験することで、飼育員が自分のやりたいことに繋がらないと分かり、飼育員の道をあきらめたのだと管理人は思います。
ミー坊は自分が何をしたいのか大まかでもイメージできていたので、自分の価値観を既存の職に無理やり当てはめないという選択をしたことで、唯一無二の適職「さかなクン」にたどり着けたのだと思います。
自分の価値観を妥協せず、理想を追い求めてる姿勢はなかなかできることではないし本当に格好いい生き方ですね
趣味と仕事の違い
ではさかなクンが感じた趣味と仕事の違いとは何か?
管理人がざっくり表にしてみました。
趣味と仕事 | 【時間】 | 【対象】 | 【お金】 | 【姿勢】 |
趣味 | 自由な時間 | 自分のため | 払う | 基本能動的 |
仕事 | 限られた時間 | 相手のため | もらう | 基本受動的 |
趣味は自己完結できるけど、仕事は他の人に有益な成果を出さなければいけないということです
映画で核心をついたエピソードがあったので紹介しますね
映画でのエピソード
さかなのこのワンシーンでこんな場面がありました。
簡単に言うとオシャレな歯医者がミー坊にワンダー(お客さんがまた来たくなるような)水槽を設置してほしいという依頼でした。
オチを言ってしまうと、ミー坊の展示した魚がマニアックすぎてあれだけギラギラしていた歯医者の目が一瞬で死んだ目になってしまうのでした笑
引用:『映画さかなのこ』公式サイト
何が言いたいかというと、顧客(歯医者)が抱える問題をミー坊が理解・解決できなかったということです。
ワンダーという言葉に囚われすぎて、そのあとに続く「もっとここで歯を削りたいと思わせたい(リピーターを増やす)」という歯医者のお金を払う理由を解決できなかった=成果が出せなかったというお話です。
水族館飼育員をはじめすべての仕事は他者の問題を解決することでもらえることで報酬(お金・感謝)を受け取ることができます。
ミー坊はせっかくの努力の甲斐空しく報酬を受け取ることができませんでした。
展示の生体と準備自体は働いている熱帯魚ショップの店長が太鼓判を押すほどでしたが、仕事としては成果を出せなかったのでした。
ただ、ミー坊はしっかり仕事としてまじめに取り組んでいました
最初はグッピーなど定番の熱帯魚を中心に考えていた様子だっただけに内心やきもきしてみていました
ほんの少しでも相談しながら進めていたらきっと仕事して成功してたと思います
さかなのこや一魚一会は飼育員として働く上でもたくさんのヒントがちりばめられた作品だと感じました。
では本題の管理人が思う飼育員に向いている人をお話したいと思います。
管理人はどんな人が飼育員に向いていると思うのか?
- 感謝できる
- 相手のために時間をかけられる
- 成果を出すことに前向き
- 精神的に自立している
- 自分だけの武器を持っている
一見そんなの関係ないんじゃない!?って思いそうなこともありますが管理人なりの考えを説明しますね
感謝できる・相手のために時間を使える
相手を思いやることができる人は職場で良好な関係を築ける
映画や書籍の感想を覗いてみると時々「さかなクンは恵まていただけ」、「結局家庭環境が良かった」など運が良かったという意見がありました。
確かに運があったということもあると思いますが、管理人はさかなクンの人柄こそが運や環境を引き寄せたと思っています。
その一環が感謝・相手のために時間を使えることだと思っています。
実際にお会いしたさかなクンは、常に感謝を忘れないお人柄でした。
また、書籍では震災によって全壊した水族館に無償で魚や水槽を寄贈し、再建に貢献したというエピソードもありました。
管理人の好きな言葉に「運は人についてくる」というのがあります
さかなクンの感謝や人に思いやりを持つ人柄が良い人間関係を育み、結果として仕事でも成果が出るようになっていったんだと思っています
生物を飼育するスキルは確かに重要です。
しかし、働く人と協力する間接的な所に気をつかえることがもっと大切だと管理人は信じています。
そしてそれは直接的な仕事である接客にもつながっていきます。
決してコミュ障を治せというわけではありません。
大切なのは思いやる姿勢を一緒に働く人に示すこと。
それこそが飼育員としての仕事をより楽しいものにしてくれます。
正直、管理人も働き始めはやる気だけの新人に見られ厄介者扱いされていました
ただ、困っているスタッフを手伝ったり、みんなが嫌がることを進んでやってみたりと少しづつ信頼をためていった結果、だんだん色々な挑戦に協力してもらえる良い環境になっていきました
一つ注意として、手伝ってもらって当然のような搾取的な考えの人がいたら近寄らないようにしました
「相手を思いやる」これができるだけでも十分飼育員として向いてます!
成果を出すことに前向き・精神的な自立・自分の武器をもつ
働く姿勢・心もちが定まっていれば自分の仕事に集中できる
成果を出すことに前向き
飼育員として働いて残念だと思うのは、言われたこと以上のことを考えず、責任に怯え、現状維持だけを考える飼育員が結構いることです。
さきほど歯医者の例でお話ししたように、仕事は成果(相手の問題を解決すること)によって初めて報酬(給料)を受け取ることができます。
水族館ではただ魚の世話をするだけでは報酬は発生しないんです。
水族館に来館される多くの方が抱える問題を探し、抽出し、解決案を示さなければ飼育員としての成果は得られません。
以前水族館飼育員は給料が低いという話をしましたが、スタッフが現状維持をよしとするならばそれ以上の成果は望めず、給料なんて上がるわけがないのです。
成果が出れば飼育員としての自分にも自信がつきます。
自信がつけば新しい挑戦も踏み出せて、より大きな成果を出す可能性が出てきます。
結果として水族館が良い方向に向かっていくわけです。
「どうせやるなら全力で取り組むか」
そんな考えをもつ人は飼育員に向いています。
精神的な自立
そして成果を出すことに集中するために必要なのが精神的な自立です。
管理人が考える精神的に自立しているとは以下のことです。
- すぐ感情的にならない
- 原因自分論として考える
- 周りと比べない
- 失敗してもこれからどうするかを考える
など
特に働いていてすぐ感情的になったり、人のせいにする人は、周りの信用を失い、自分も周りも働く環境が悪くなったりと損しかありません。
現在の管理人もそうですが一朝一夕で精神の自立は難しいです。
ただ、心もちだけを意識するだけでも、成果を出しやすくなると思うので、意識してもらえればと思います。
ちなみに飼育員の仕事にしっかり集中したいなら、まず土台となる人間関係を良好にすることが一番の近道だと思っています
- 日頃のあいさつや感謝を伝える
- 相手の困っていること・嫌なことを手伝う
- 仕事で成果を出す
この3つさえ出来れいれば職場で信頼され、良い人間関係が構築できます
変な人・やばい人には近寄らないのが鉄則です
自分の武器を持つ
仕事で成果を出すためには自分だけの武器があるとより大きな成果をあげやすいです。
- 能力:専門的な経験・知識・資格など
- 性格:積極性、共感性、適応性など
これは以前解説した実際の就職面接にも役立ち面接官によく聞かれる「自分の強み」ともいえます。
志望動機で「生物が好きだから」なんて理由、試験官は耳にタコができるほど聞いています。
あなたがここに来た!というインパクトを残す為に自分だけの武器は必要です。
この強みが志望する水族館への志望動機と強く紐づいていると他の志望者より際立ち、採用試験に合格する確率も高くなるでしょう。
そうはいっても自分に強みなんてない…
管理人も昔同じことを考えていましたが、今ははっきり言えます
絶対にあります!
まだ自分で気づいていないだけです
強みを調べてみたい方はこちらで詳しく解説しているので参考にしてください。
最後に
え~つい盛り上がり長くなってしまいましたが今回は、
- 映画さかなのこの簡単なおさらい
- 魚が大好きなさかなクンがなぜ水族館飼育員にならなかったのか?
- 趣味と仕事の違い
- どんな人が飼育員に向いているのか?
についてお話ししました。
飼育員に向いていると思う人として
- 思いやる姿勢を一緒に働く人に示せる人
- お客さんの抱える問題を探し解決案を考え、成果を出そうとする人
と紹介しました。
さかなのこを見て、自分の好きなこと、やりたいことはなにか?好きなことをやるために今の生活はどうなのか?改めて考えさせてくれる映画でした
映画はそろそろ公開終了のようですが、調べてみるとノベライズもあるようなので興味のある方は調べてみてください!
書籍版の一魚一会もぜひ一度は一読することをお勧めします!
今回は以上です!
本日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またのご来館をお待ちしております!