こんにちは!水族館で飼育員をしている管理人のめだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
【シリーズ連載】
ブログに多く寄せられる質問に飼育員である管理人が答えます
今回はブログをみて飼育員を目指す学生の皆さんなどから寄せられた質問の中で、
- 多くいただいた質問
- これは大切だなと思った質問
の管理人のめだかなりの回答を紹介していきます!
結構飼育員を目指す上で大切なことが詰まった質問・回答になっているので、飼育員を目指す方はぜひ参考にしてみてください!
たくさん寄せられた質問たちを今回は、以下の6つにまとめてみました。
- 大学選び
- 資格について
- 飼育員の適正について
- 就活について
- 仕事について
- 将来について+番外編(おまけ)
第1回:大学選び編
今回はシリーズ第2回ということで、飼育員の必要な資格についてのよくある質問を紹介・解説してきます。
飼育員を目指す上で抱える皆さんの悩みを少しでも解決できれば幸いです!
前提として
まず、事前にお伝えしたいのが「飼育員になる上で法律的に必須資格はない」ということです。
医者や弁護士、タクシードライバーなどの専門職にはそれぞれ法律で決められた免許を取得している必要がありますが、水族館飼育員には働く上で法律的に必要な資格はありません。
なんの資格も持たなくても働くことができますが、資格を持つことでより就職で優遇されり、飼育員としての仕事を充実させることができます。
今回の質問集を見て、自分の目的に合った資格取得を目指して頑張ってみてください!
潜水士資格は必要ですか?
取りましょう
- あって困る資格ではない
- 少し勉強すれば簡単にとれる
100%必要です!とは言いきれませんが、水族館の顔となる水槽は大きい場合がほとんどです。
深さや奥行きがある水槽を掃除するとなると、人が潜って作業する必要があります。
その時に必要になるのが「潜水士」の資格です。
法律上、資格がないと業務として潜水するとき空気ボンベなどの機材を使えません。
素潜りで潜ることになります(実際そんなことしたら怒られるのでやらないでくださいね)。
大型水族館の飼育員を目指すなら仕事でまず使う必須資格です
逆に使わないとこで思い浮かぶのは、大きい水槽がない小型水族館などでしょうか?
小型水族館だと作業する水槽も限られるので必ずしも全員が取っているというわけでもないです
とろうかな、とらないかな
そう考えてるうちにささっと勉強してさっと取った方が良い資格です
資格の取り方や勉強法も解説しているので参考にしてみてください
潜水士試験では実技試験がないので、水中作業や潜水に不安がある方は体感として理解しておくためにも、別途「Cカード」いわゆるスキューバダイビングのライセンスも取得しておくとよいでしょう。
船舶免許は要りますか?
基本的に必須ではない
- 自分の目的と相談して考える
- 大学で取れるとこもある
めだかも船舶免許持ってますが、用事(それも仕事に関係ない)一度使ったきりで免許の更新を迎えました…笑
ペーパーボートライダーです。
5年ごとに更新する手間(講習60分+移動時間)と費用(¥10,500+交通費)がかかるので趣味でボート持ってたりしない限りお飾り資格になりがちなとこが正直な意見です。
今後使わなそうなら失効も考えています
え?趣味でボート乗ればいいって?財源はどこですか財源は!
船を持つ余裕のある規模の大きい水族館や研究が盛んな水族館などを目指すなら取っておいてもよいでしょう。
とはいえ、時々採用募集される際にひょこっと書いてある時もあるので、少しでも就職を有利に進めたいと自分で思ったなら、とりあえず取っても良いと思います。
実際教習で船を運転できるのも楽しいですし。
大学によっては授業中にとれるところもあるので、取得したい方は単位ついでに取るのも手です。
めだかも大学の授業でとったクチです
筆記勉強しなさ過ぎてギリギリ合格だったのはいい思い出
学芸員資格を取得するメリットは何ですか?
資格の中でも最もよく聞かれるのが学芸員資格についてです。
- 資格として就職に有利になる
- 水族館や博物館施設の根幹を理解できる
- 展示に対しての読解力・表現力が上がる
まず、単純に就職に有利になる場合があります。
学芸員資格をもつことで「優遇」や「必須」といったふるいにかけられず、就職試験に臨むことができます。
学生はこのメリット欲しさに学芸員資格を取得する場合がほとんどです。
しかし個人的には博物館施設の根幹を理解できる・展示の読解力、表現力を養えることが最大のメリットだと思います。
水族館はただ魚を水槽で展示して見せればいいわけではありません。
来館者に水族館という社会教育施設(生涯教育施設)として訪れた前と後で「変化」をもたらせれるか?が一番重要です。
現在は商業メインの観光施設としての側面が強いですが、水族館の存在する意義はとても大切です。
伝え方の基礎と博物館施設のルールを学ぶことができるのが学芸員資格過程での勉強です。
野球を上手くなりたいのに野球の基本ルールを知らなければ上手くなりようがないのと一緒です
ただ就職に有利になるからという理由ではなく、水族館で働く自分をイメージしながら学んでみてください。
こちらで学芸員資格の取り方も解説しているので参考にしてみてください。
獣医師となったほうが採用されやすいですか?
学芸員や潜水士のように取得していれば採用率は上がるか?的なニュアンスがあったのでその回答を紹介します。
前提としてめだかは獣医師の資格はもっておらず、知り合いから聞いた情報と調べれる範囲での情報からの回答ですので、参考までに。
獣医師になるのは飼育員採用より難しい
- 資格取得が難しい
- 募集はさらに限られる
- 自分の目的に合う手段なのか考えてみる
飼育員は主に水産系や海洋系専攻の大学に進み目指すことが一般的なルートです。
【一般的な目指し方】
- 水産系・海洋系の大学に進学(私大で偏差値45~55くらい)
- 4年制の大学を受講
- 水族館飼育員の募集を探す
獣医師の場合は資格をまず、取得するのに獣医学部という6年制の学部に進み大学卒業後に獣医師国家試験に合格する必要があります。
【獣医師から目指す場合】
- 偏差値の高い獣医学部に進学(私大で偏差値55~62くらい)
- 6年制カリキュラムを受講
- 卒業後、獣医師国家試験に合格
- 水族館の獣医師(または飼育員)の募集を探す
獣医師になるには高い基礎学力かつ、6年間のカリキュラムをこなす必要があり、さらに海洋系の学部よりお金がかかるということは覚えておきましょう。
更に獣医師が必要な生物を飼育する水族館は限られるので、募集も少ないです。
大事なことは自分の目的に合った手段かを考えることです
仮に獣医師として採用された場合、恐らく普通の飼育員のような仕事を任されることはほぼないでしょう。
水族館の顔ともいえる花形生物たちの命を預かるある意味、最高責任者という責任ある立場になります。
みなさんが水族館に勤める目的がそうであるなら何も言うことはありませんが、仮にイルカショーをやりたい、クラゲの世話をしたいなどであった場合、目的がずれてしまうわけです。
獣医師になるということもあくまで手段です。
みなさんが飼育員になって何をしたいのか?しっかりとした目的(価値観)をもって適切な手段を選んでいきましょう!
一方で取得できるのであれば生物の扱いにおいて深い専門性をもてるのも事実です
以前解説したエサの給餌方法については他館の獣医師資格を持つ水族館スタッフから教わったものです
獣医師の募集がなくてもめだかがお伝えした以外の方法もあるので、自分の目的をしっかり考えて適切な手段をとっていきましょう!
車の免許は取った方が良いですか?マニュアル(MT)のほうが良いですか?
自動車免許は取っておく
- 通勤に使う
- 仕事で使う
- 私生活も便利
MTは余裕と自信がある人は取る
自動車免許は取っておくのがおすすめ
通勤に使う
今でこそ都市近辺に水族館が開館していますが、以前は施設の特性上、海岸沿いに建てられることがほとんどでした。
地方の水族館などは公共交通機関とは縁遠い場合があるので、通勤に自家用車が必須です。
逆に、都会にある水族館は館によって自動車通勤を認めていないところもあります。
通勤時の事故などを避ける理由などがあるそうです。
仕事で使う
ただ、通勤に使わなくても仕事で使う可能性もあります。
- 漁師さんから魚をもらうとき
- 水槽に使う機材などを運ぶとき
- 他の水族館などに出張で向かうとき
など、仕事では普通自動車免許が必須級です。
私生活も便利
水族館で働きたい人の多くはやはり生物が好きな人が多いですよね?
となると、私生活でも海や川など自然に出かける機会もあると思います。
自家用車があるととても便利です。
電車で竿もって邪魔者扱いされなくて済みますし、時間を合わせなく手も良いし、線路沿い以外の場所へマイペースに移動できます。
MTは余裕と自信がある人は取る
めだかも学生の頃MTは水族館で働くなら必須だよ、とよく耳にしました。
そもそもマニュアル(MT)免許ってなに?
という方に自転車を例に簡単に説明しますね。
自転車のチェーンのところを見るとこんな感じで何段にもなってるときありますよね?
自転車を乗るときに坂道や直線道路など道路によってカチカチ変えて使い分けると思います。
カチカチ変えるのをギア変速と言います。
このギア変速を運転手が手動でやる車をマニュアル車(MT)といい、
機械が自動でやってくれる車をオートマチック車(AT)と言います。
MT車はAT車と比べ左手と左足の操作が増えるため、慣れないと結構大変です。
近年はAT車が普及しているため、よほどの車好きでなければ一般の人が乗っている車のほとんどはAT車です。
マニュアル車は昔の車に多いため、水族館の社用車が古い車種だと必然的にMT免許がないと乗れない=仕事で使えないという理由があり、MT車が必要と言われています。
じゃあ買い換えればいいんじゃない?
お金が…ないんです…
車は高い買い物なので、一度買うとなかなか買い換える踏ん切りがつかない事情があります。
結果、昔購入したMT車を水族館が大事に乗る=MT免許が必要という構図が出来上がるわけです。
軽自動車などの社用車ならまだ買い換えやすいですが、生体や大きな機材を運ぶトラックなどはホントにいい値段するのでなかなか買い換えるのは難しいです
持っている水族館は規模の大きい所などに限られますが
ということでMT免許の必要の有無は水族館のもっている車によります。
こちらも船舶免許のように必須ではないと考えていますが募集要項にチラッと書いてあったりするので、もし気になるのであれば直接水族館に聞いてみるのも良いと思います。
最後に、免許は取っておいた方が良いと思いますが自家用車の購入はしっかり考えましょう
車の購入は人生においても安くはない買い物です
知っての通り飼育員の給料は高いとは言えません
人生を豊かに暮らす為にも自分に必要なのか両親と相談して、購入を考えていただければと思います
最後に
飼育員の資格について多く寄せられた質問を紹介しました。
最後にお伝えしたいのが、
- 資格取得を目的にしない
- 自分に必要な資格を考える
ということです。
資格取得を目的にしない
資格があると確かに就職が有利になるという目に見えるメリットがあります。
しかし、実際に作業で役立つのは資格の免許ではなく、資格を取る過程で学んだ知識です。
潜水士資格も筆記試験に合格さえすれば取れてしまう国家資格ですが、実際に潜水するときに必要になるのは潜水士免許証ではなく、どんなことが危険かというリスクに対する知識です。
自分に必要な資格を考える
分かりやすい具体例として管理人の父親を例に出します。
若いころの父は今回お話しした資格以外に飼育員に必要と言われていた資格を片っ端から取得していました。
しかし、働いている水族館で取得した資格は半分以上使われず、免許証だけが残りました。
もちろん、資格取得の過程で学んだ知識が見えないところで活躍してた可能性もあります。
ただ、個人的には藪から棒に取得して、使う機会があれば役立てるというある種ギャンブルのような考え方は筋が悪いと思います。
資格取得するための時間もお金も自分も有限だからです。
実際に資格取得のために自分の私生活の時間も切り詰めていたそうです。
大切なのは今働いている水族館に必要なモノ(資格など)を逆算して考えることだと思います。
後日公開する「就職編」にて「すべての水族館に求められる人材はほぼいない」とお話しているのとは逆に、
「特定の水族館に求められる人材」は必ずいます。
○○水族館で働きたい!
そう思ったなら藪から棒に資格を取るのではなく、一旦手を止めてその水族館はどんな人を求めているのかを考えることから始めましょう。
それが分からないから困ってるんだよ!
そうと思う方は、以下のことをやってみましょう。
- 大学のOB・OGから就職した飼育員はいないか調べて話を聞いてみる
- アルバイトやインターンシップの募集から現場を見てみる
- 飼育員が集まるイベントに参加してみる(研究室でそんなのがありました)
- 水族館のスタッフに直接聞いてみる(忙しくないとき)
おすすめなのは大学や専門学校の先生に頼ることです。
でも嫌な顔されたらいやだし…
飼育員になるのが難しいのは飼育員自身が一番知っています
真摯な態度で話せば向こうも真摯な態度で聞いてくれるはずです
万が一すごい嫌な顔したりする人がいる職場は仮に就職しても嫌な目に合う可能性が高いので早めに候補から外しましょう!
就職するまでもが大変な飼育員ですが、引き続きブログを通してみなさんの飼育員の夢を応援できればと思いますので、今後ともよろしくお願いします!
次回は第3回として「飼育員の適正について」解説しますので、ぜひご覧ください。
今回は以上です!
本日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またのご来館をお待ちしております!