こんにちは、地方の水族館飼育員として働いている管理人のめだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
水族館飼育員の給料が安いといわれる理由
今回は水族館を目指す人がたびたび考える問題について解説していこうと思います。
小さいころから、水族館運営を行う父を見てきた管理人が、なぜ水族館飼育員の給料が安いのか経験を踏まえながら理由を解説します。
最後にまとめとして管理人の個人的な意見も伝えたいと思いますので最後まで見ていってください!
それでは行ってみましょう!
水族館飼育員の給料は安い?
では、早速ですが水族館飼育員の給料が安いといわれるのは事実なのか確認しておきましょう。
あなたが大学を卒業し、新卒で水族館を管理する会社に入ったとしましょう。
あなたの給料は一般の会社員より少し安いぐらいです
えっ!?もっと極端に安いと思ってた!
近年は、指定管理者が運営する水族館が多くあり、地域の給与収入を加味した、一定の給与はもらえる印象です。
大型の私立水族館では福利厚生もしっかりしたところが多いです。
注意:水族館の規模や立地、運営方針に左右されることは覚えておいてください。
結構もらえるんだね!なら安心だーよかったよかった~風呂入って寝よ
と早くもブラウザを閉じようとしたあなたは黄色信号です
ここで、「なぜ水族館飼育員の給料は安いと言われているのか?」と疑問に思うことができるかで、将来会社員として、飼育員として大きな開きが出ます。
普段から「なぜ?」を考える習慣をつけることを頭に置きながら、本題の安いといわれる要因を見ていきましょう。
水族館飼育員の給料が安いといわれる要因
では本題に入っていきましょう。
管理人が考える理由として以下のものが挙げられます。
要因1:水族館は公益施設の側面が強いため
要因2:業種自体が利益を出しずらい
要因3:就職倍率が高い
要因4:水族館自体の維持・管理費が高い
要因5:時間や労力に対して給料が少なく感じるため
それぞれ見ていきましょう。
要因1:水族館は公益施設の側面が強いため
よく勘違いされている方が多いのですが、水族館はただの観光施設ではありません
水族館の源流は博物館に通じる、生涯学習・教育施設です。
水族館の起源については以下で詳しく解説しているので参考にしてください。
博物館には「すべての人に開かれた場所」というテーマがあります。
多くの人に利用してもらうことを目的としたとき、社会教育施設という側面が優先され、利益は二の次になるということです。
高収入・高学歴な人だけが入場できる博物館や動物園、水族館なんて聞いたことないですよね?
博物館に関連する取り決めは水族館にも少なからず影響を及ぼしているのです。
水族館の運営形態によっては利益を多く上げることが主目的ではない場合があるのです。
この話には積もる話はありますが、またの機会にお話できればと思います
要因2:業種自体が利益を出しずらい
水族館や動物園といった業種は利益が出しずらいのが特徴です。
普段から「なぜ?」を考える訓練として、少し手を止めて考えてみましょう。
考えるヒントとして、逆に利益を出しやすい業界とは何か考えてみてください。
管理人の意見としては、水族館は生活に必須のものではないことが挙げられます。
水族館が無くなっても、恐らく皆さんの生活は大きく変わりません。
水族館好きすぎてなくなったらショック死するレベルの変態さんはごめんなさい!笑
いつもありがとうございます!
しかし、食材や今使っているネットなどがなくなったら生活は大きく変わりますよね?
生活の必需品と違い、生活にある程度余裕があって、家族やデートで利用したい、生き物について学びたい、癒されたいというニーズからお金をいただき、報酬として利益を頂いているのです。
一方で水族館飼育員は「お金を稼ぐ」という意味では生産性が低い傾向があります。
経営陣はともかく、一般の飼育員は大学、専門学校でお金のことに関して学ぶことがないまま就職したパターンが多いからです。
規模の大きい水族館では、飼育員が苦手ともいえるお金を稼ぐ=お客さんを呼び込む役割をカバーするために水族館の中に様々な部署があったり、外部のプロと契約しているところもあります。
水族館ではそれ以外にもたくさんの方が働いているのでその一例をご紹介します。
【水族館で働く様々な人の例】
- 展示飼育部:生き物を飼育・展示
- 解説員:来館者に楽しく・分かりやすく生き物を解説
- イベント企画:来館者を呼ぶイベントを発案
- ショーの企画・指導:ショーのパフォーマンス・演技指導
- 広報:イベントやショーを多くの人に伝わるように発信
- 商品開発:水族グッズなどの開発・販売
- 清掃:来館者に気持ちよく利用してもらう
因みに小型の水族館ではこれらの役割の一部を飼育員がこなす必要が出てきます。
皆さんが想像する水族館で働くというのはほぼ飼育員だと思いますが、飼育するだけではない、様々なスペシャリストが水族館で働いていることを覚えておくと、より水族館についての理解が深まると思います!
要因3:就職倍率が高い
要因3については疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
簡単な話、需要と供給の話です。
①一滴の水も出ないような場所で買うミネラルウォーター
②蛇口をひねればいくらでも安全な水がでる場所でのミネラルウォーター
①と②どちらのミネラルウォーターの価値が高いかという話です
ご存じの通り、水族館の求人は多くありません。
しかし、毎年たくさんの学生が飼育員を目指し求人に応募します。
中には給料などは二の次で志望してくれる方も少なくありません。
人が集まらなければ、募集側は給料を高くして求人をかけるなどしますが、需要が多いためその必要がなくなるのです。
この要因に関しては、管理人の一意見なので全体で考えると小さい要因だとは思います
ただ、こうした考えもあるという例として今回紹介しました
要因4:水族館自体の維持・管理費が高い
はっきり言って水族館はめっちゃお金かかります。
水族館で維持コストがかかるものとして主に以下のものがあげられます。
- 電気代
- 人件費
- 水道代
- エサ代
- 生体の購入費
- 外部企業への委託費
など
この中でも特に覚えておいてほしいのが電気代と人件費です。
水族館は海や川など様々な自然環境を人工的に再現して水生生物を飼育・展示しています。
そのためには水温、酸素、照明の強さなどいろいろな条件を調整する必要があります。
そしてこれらを維持するためには電気は欠かすことができません。
仮に水族館の電気供給が止まってしまった場合飼育している生き物はわずか数日で大量に死んでしまいます。
- 酸素欠乏症:自然界より過密に飼育しているため
- ストレス:急激に水温・水質が悪化することによるショック
- またはストレスによる免疫低下後の病気の蔓延
水族館が開館・閉館しているにかかわらず必ずかかるコストが電気代です。
小さな水族館でも月最低100万はかかることもあります。
次に人件費ですが、こちらは水族館に関わらず人を雇う会社では必ずかかるコストです。
飼育員に支払う給料も会社側からすればコストになります。
仮に月25万円で30人雇うとすると会社側は月750万円を人件費として支払う必要があります。
つまり人数が増えるほど、毎月のコストも膨らんでいくということです。
水族館の経営を維持するために経営者がやることは2つです。
1.収入を増やす:入館者数を増やす、入館料を上げる
2.支出を減らす:コストのかかる生き物を飼育しない、人を多く雇わない
1.のように収入を増やすためにレクリエーション面を強めた
レジャー要素の強い運営されている傾向が多いのが私立の水族館です。
一方で規模の小さな水族館などでは、2.のように支出を抑える傾向にあります。
一見、癒しの空間である水族館ですが、生き残るために裏では様々な戦略を立てているのです。
話が脱線しましたが、今回の要因の結論は他の会社より莫大なコストがかかるため、水族館全体の収入は伸びず、従業員に還元するのが難しい場合が多いということです。
要因5:時間や労力に対して給料が少なく感じるため
最後に紹介するのは経営面というよりは、働く飼育員の精神面が要因となります。
以前も話した通り、水族館飼育員という仕事は頭と体を使うハードな仕事です。
どんなことがハードか管理人の主観で言語化すると以下のようなものが挙げられます。
- 専門的な知識
- 接客術・コミュニケーション能力
- 突発的な時間外労働
- 生物の命を世話するプレッシャー・責任感
- 自分の好きなことだけをできない閉塞感
以上のことを日々こなしていく中で、ふと自分の給料をみると、
え、、これだけ?
と感じてしまう人がいることも事実です。
そして給料や待遇に納得がいかず、退職した方が他の人に給料の話を聞かれたとき
水族館飼育員の給料は(時間や労力に対して)安いよ
と人伝いに伝わったことがたくさんの人の耳に入るようになったのではと管理人は思います。
一般的な会社員より給料が安いのは事実面と時間や労働力に対する感情面が相まって安いということが周知されていったんだと考えられます
給料について管理人の見解
以上を紹介したうえで、管理人の意見をお話しします。
お金で働くか、自分の価値観で働くか
何度もお伝えしますが、水族館飼育員の給料は一般会社員と比べると低いです。
給料が低い・きついことで職を離れる人がいるのも事実です。
働いていて給料が低い!激務!やりがい搾取だ!と思う人もいるでしょう。
管理人はそのことを否定する気はありません。
むしろ転職など自分から行動を起こし、一歩ずつ自分の幸せに向けて踏み出す人を尊敬しています!
ただ、このように辞めていった方たちでも、「水族館飼育員の給料は安い」という情報は耳に入っていたと思うんです。
それでも一度でも水族館飼育員を目指して就職したのは、きっとお金ではなく、自分の価値観で選んだからだと思います。
それこそ水族館より高い給料をだす会社はいくらでもありますからね。
水族館で働くことが価値観に合わなかったら辞めてもいいのです。
若い年齢ならいくらでもやり直しはできると断言します。
実際の管理人の大学時代の友人も人間関係に悩み、数年で退職するも転職先では人間先と収入にも恵まれ楽しく働いています
自分を押し殺して働いても、水族館でもらえる給料は限られています。
自分の価値観に合わず、給料も安いと感じているのに働く意味はあるのか?改めて自分と相談してみてください
あなたの人生は一度きり。
自分の価値観にあう、納得のできる選択を選んでいきましょう。
水族館飼育員という職業についてはこちらでも解説しているので、是非読んでみてください。
長くなりましたが、本日はここまでです。
次回も水族館について解説してきたいと思いますので、ぜひまた遊びに来てください。
それではまたのご来館をお待ちしています。
ありがとうございました。