こんにちは!当ブログの管理人のめだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
【シリーズ連載】
ブログに多く寄せられる質問に飼育員である管理人が答えます
今回はブログをみて飼育員を目指す学生の皆さんなどから寄せられた質問の中で、
- 多くいただいた質問
- これは大切だなと思った質問
の管理人のめだかなりの回答を紹介していきます!
結構飼育員を目指す上で大切なことが詰まった質問・回答になっているので、飼育員を目指す方はぜひ参考にしてみてください!
たくさん寄せられた質問たちを今回は、以下の6つにまとめてみました。
- 大学選び
- 資格について
- 飼育員の適正について
- 就活について
- 仕事について
- 将来について+番外編(おまけ)
今回はシリーズ第4回ということで、大学選びについてのよくある質問を紹介・解説してきます。
前回に引き続き「よくある質問シリーズ就職編」に一問一答していきたいと思います!
では早速行きましょう!
大学院に進む方が水族館就職は有利になりますか?
よくある質問大学選び編でもあるように、大学に進学するか?どこの大学に進学した方が良いのかは多く聞かれる質問です。
今回の質問者さんは一歩先の大学院進学は就職に影響するかどうかを質問してくれました。
水族館ごとの求める人材かで変わる
ただし、目に見える信頼=評価の参考になる
結論として有利かどうかは募集元の水族館によるということになります。
はっきり答えられず申し訳ないですが、これは採用する側がどのような人材を求めているかに左右されるので断言はできません。
大切なことは、大学院進学での「水族館就職が有利になるか否か」はあくまで手段としての結果であって、考えるべきなのは「大学院に進学して自分はどうしたいのか」の目的だと思います。
とはいえ、めだかが質問者さんと同じ立場ならそんなこと言われても…となると思います笑
今は大学で実際に研究に触れてから大学院で自分はなにをしたいのかゆっくり考えればいいや~くらいの軽い気持ちで大丈夫だと思います!
そんな中で、大学院に進学するとどのような利点があるのか?解説してきたいと思います。
大学院とは
今更なんですが…大学院とは…?
という方にまず大学院について簡単に説明しますね。
大学院とは大学4年生で取り組んだ自分の専攻分野を、より専門的に研究する大学からの進学のことです。
大学院といっても高校のように大学と別の学校というわけではなく、大学の延長にあるイメージです(校舎も一緒の場合が多い)。
ただ、編入試験に合格すれば、他の大学院にも進む道が開けます。
在籍していた大学の大学院ではなく、東京大学の大学院に進学していた友達もいました
履歴書には「東京大学院卒」と書けるそうですよ
大学(4年制)と大学院の大きな違いは卒業時に修得する学位と専門性の違いです。
4年制大学卒業から「修士」は2年間、「博士」は5年間大学に通い、修了条件を満たすことで、大学からそれぞれの学位が与えられます。
そして専攻分野を選り時間をかけて学修した分、専門性が高くなります。
他にも、以下のような社会でも通用する経験を身に着けることができます。
【修士や博士で身に着く経験】
- 研究対象の専門的な知識
- 論理的思考力(研究)
- 分析能力(結果解析)
- 計画性(実験)
- 文章構成力(論文作成)
- プレゼン力(発表)
- 実験器具取り扱いなどの技術習得(実験)
- 精神の成熟(研究者との付き合いや後輩の教育)
就職する上で大きなスキルとなることは間違いありません。
事実、大卒よりも大学院卒の方が、就職できる会社の幅は拡がります(その分就職に保険がきくということ)。
と、こんな感じでいいこと尽くしに見えますが気を付けなければならないこともあります。
- 在籍年数分の学費がかかること(優良者は免除も)
- カリキュラムについていける高い学力(英語論文などバリバリ読みます)
- 何もかもで主体性や自己管理能力が必要(誰かの指示通りに…なんてことはない)
- 研究は…本当に辛い…
仮に博士まで修了しようと考えると、最短で通算9年間大学に在籍することとなります。
18歳で入学したら27歳でようやく博士を修了できるということです。
学芸員のように資格があると有利になるといった軽い気持ちではそうそう修了できる易しいものではないことは覚えておきましょう。
自分の卒業研究テーマも偉大な先輩お二人から教えていただき、やっと完成しました
修士の先輩も勿論大変そうでしたが、博士の先輩の研究の追い込みはもう…見ていられないくらい苛烈を極めていました…
お二人とも当時は本当にありがとうございました
修士・博士と学士で待遇はどのように変わるか?
では、実際に水族館に就職した場合、どのように待遇が変わるのか解説してきます。
就職する前にある程度信頼が積みあがっている
こちらで解説したように水族館に就職するためのステップとして以下の3つを紹介しました。
- 志望者の外側(経歴・資格→実績・能力)
- 志望者の内側(価値観・信念→動機・人間性)
- 求める人材と一致するか(➀と➁が水族館が求めるか)
「大学院を修了した」というのは、大学から「この人は専門的な分野で活躍できる人材」とお墨付きをもらった状態と言えるので上の3つに良い方向に影響しやすいです。
大学卒と大学院卒なら経営者的には目に見える信頼がある後者に最初は興味がわく、そんなイメージです。
更に大学院卒であると就職後にも影響があります。
具体的にするとこの3つが当てはまることが多いです。
- 基本給の違い
- 早い段階で責任のある仕事を任される
- 将来は運営に関わる可能性が高い
➀基本給の違い
まず、高卒と大卒の基本給が違うように、基本給が大学卒より高くなります。
よく、求人募集の初任給の欄が「月額150,000円~約200,000円」のように幅がある理由は基本15万円+学歴や資格+過去の実績のように加算されていくからです。
通常は仕事の成果や勤務態度など信頼が可視化されることで昇給していきます
大学で実績を残したという信頼が給料に反映されているということです
➁早い段階で責任ある仕事を任される
もちろん最初は、他のスタッフ同様に水族館の仕事の仕方などを覚える時期だと思います。
ただ、大学院で自分で進めていた方は自分で物事を考えて問題を解決できる能力が鍛えられています。
【修士や博士で身に着く経験】
- 研究対象の専門的な知識
- 論理的思考力(研究)
- 分析能力(結果解析)
- 計画性(実験)
- 文章構成力(論文作成)
- プレゼン力(発表)
- 実験器具取り扱いなどの技術習得(実験)
- 精神の成熟(研究者との付き合いや後輩の教育)
そうした能力を仕事に役立たせることができれば、信頼が積みあがるのも早いです。
大学院卒業という就職前の信頼も重なって、同年代のスタッフより責任のありつつ、自分の裁量でできる仕事も増えていく可能性が高いです。
③将来は運営にも関わる可能性が高い
そういった責任ある仕事を任されていくことで運営の中核を担う立場として、裁量権のある立場を与えられることも出てきます。
要は昇進しやすいということです。
もちろん勤務態度や実績などの評価が良いことが前提ですし、上層部の流動性が低い水族館だと、イス自体が空かないなんてことはありますが。
この前紹介した竹島水族館の名参謀、戸館副館長も大学院を修了されています。
めだかが実習でお邪魔した水族館にも博士号をもった飼育員の方がいらっしゃいました
その方もかなり上の立場で、水族館のワークショップやイベントの仕切りなどの仕事を任されるプロフェッショナルでした
繁殖の知識や、水質の考え方など少しの会話にあらゆる専門的な知識や経験のバックグラウンドがあるのが分かる話していて大変勉強になる時間でした
論理的な説明でも分かりやすく解説できる能力の裏に、研究で得た経験は活かされているとおっしゃっていました
まとめ
今回は「大学院に進学すると就職は有利になるか?」という質問に対してのめだかなりの回答を紹介しました。
採用する側の視点で考えると、飼育員という職業は能力の判断が意外と不透明であやふやです。
大型水族館のように何度も面接を重ねたとしても、面接で志望者の人間性を完璧に把握することは不可能です(小型水族館ならなおさらです)。
資格があったとしても、ペーパードライバーのようにただ持っているだけの人もいれば、資格がなくても優秀な人もたくさんいるので、結局働いて判断するしかないわけです。
採用試験時は非の打ちどころがないと思っていたけど、酒癖や女癖が悪くて今ではトラブルメーカー…なんていう遅効毒のようなスタッフも中にはいるかも…?
そんな中で、大学院を修了したという実績は、その人を判断する上でとても重要な要素になることは間違いありません。
調べようと思えば研究の内容も聞けますし、採用側の人が研究で大学院の先輩を見たことがあるなら、修了までがどれだけ大変なことかも理解できるからです。
ぶっちゃけた話、大学院卒であればよほどのことがない限り水族館に就職しようとはなりません。
なぜなら大学院卒ならば、より広い選択肢の中でより好待遇な会社に勤めることができるからです(博士で研究職に進むとなるとまた大変な道になるそうですが)。
そんな中で水族館にわざわざ志願する人は、よほど水族館に就職する熱意があると思いませんか?
そんなよほどの事情で水族館に勤めるスタッフの方を尊敬しますし、そういう方たちが水族館業界を引っ張っていく、とても心強いですね
「水族館に有利になりそうだから」ではなく、「興味のあることか」「研究は自分に向いているか」「進学してどうしたいのか」など自分の価値観と相談したうえで、進学するかを判断すればよいと思います!
大学院に進学したわけではないのに偉そうに解説しましたが、先輩方の姿を見て思う回答が少しでもみなさんの役に立てばと思い、回答しましたのでご参考までに。
次回は「よくある質問に一問一答!(就活編その3)」を投稿しますので、よろしくお願いします。
今回は以上です!
本日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またのご来館をお待ちしております!