こんにちは!当ブログの管理人のめだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
【シリーズ連載】
ブログに多く寄せられる質問に飼育員である管理人が答えます
今回はブログをみて飼育員を目指す学生の皆さんなどから寄せられた質問の中で、
- 多くいただいた質問
- これは大切だなと思った質問
の管理人のめだかなりの回答を紹介していきます!
結構飼育員を目指す上で大切なことが詰まった質問・回答になっているので、飼育員を目指す方はぜひ参考にしてみてください!
たくさん寄せられた質問たちを今回は、以下の6つにまとめてみました。
- 大学選び
- 資格について
- 飼育員の適正について
- 就活について
- 仕事について
- 将来について+番外編(おまけ)
今回はシリーズ第4回ということで、大学選びについてのよくある質問を紹介・解説してきます。
前回に引き続き「よくある質問シリーズ就職編」に一問一答していきたいと思います!
では早速行きましょう!
大きい水族館の方が安泰ですか?
○○水族館(有名で大きい館)に就職できれば飼育員として将来は安泰ですか?
といった就職する水族館の選び方について質問される方が複数いらっしゃいました。
今回はこの質問に対して回答とその理由を解説していきます。
その考えだけでの判断は危険
水族館の特性と雇用形態を理解して判断することが大切
「大企業は安心」とよく耳にすることは多いと思いですが、その考えだけだと危険です!
理由として、以下の3点を元にめだかの考え方を解説します!
1)水族館が大きい=必ず利益が出ているわけではない
2)雇用形態など条件も重要
3)水族館の規模による働き方の違い
それぞれ見ていきましょう!
水族館が大きい=必ず利益が出ているわけではない
その会社が利益を出しているのか?判断するためにみなさんはどうしますか?
会社の建物見たりとか…?
確かに!会社の建物を見るのは分かりやすいですね!
大きいビルを所有する会社を見て、第一印象で「あの会社儲かってないんだな…」なんて思うことはまずないはずです
しかし、水族館では判断の仕方が少し違ってきます。
水族館はいわゆる「箱物ビジネス」と呼ばれ、作った箱にお客さんを招き入れる際の入館料が主な収益となります。
他の例で言うとカラオケボックスやホテル、パチンコ店、トレーニングジムなどが挙げられます
箱物ビジネスは事業の初期投資がとてもかかります。
なので、開館した当初はたくさんの入館者がやってきていかにも儲かっているように見えますが、その時点では赤字なのです。
オープンした水族館はまずこの初期投資を数年かけて回収していくわけです。
そしてそれは施設の規模を大きくすればするほどよりかかります。
水族館の規模≠利益が出ている
水族館が大きいかどうかは、初期投資にいくらつぎ込んだかどうかの話になるので現在しっかり利益が出ているかという話とはイコールにならないということです。
とはいえ、大体は箱にお金をかけている方が魅力もあるのである程度入館者≒利益も比例します。
ビジネスモデルでいえばハイコスト、ローorハイリターンとなります。
現在再開発が進む兵庫県神戸市の須磨シーワールド(元:須磨海浜水族園)は約370億という巨額の総事業費をかけて2024年の春に向けて準備中です
日本最大級の水族館は桁がちがいますね
因みに名古屋港水族館は総工費400億と言われているよ!
やばいね!
さらにここに水族館の経営の特性が加わります。
- 入館者のピークはオープン初年度(後は基本右肩下がり)
- 冬期は入館者が劇的に減る(地方だと日に十数人なんてことも…)
- 他業種より維持コストが高い(電気代、人件費、エサ代など)
- 設備が海水によって劣化(約30年で大幅な改装が必要)
- 公益性(社会・生涯教育)の側面
規模が大きくかったり、歴史のある水族館になるほど、上記の影響を大きく受けます。
ここまで見て、
利益の出しにくい業界に見えるけどなんで毎年新しい水族館が出来ているの?
と疑問を持った方、鋭いです。
それを話すと長くなるので詳しくは機会があれば後日解説しますね
自分なりの考えをキーワードを表すしたら「デベロッパー」「人工海水」「都市部開発」「中規模」「経済波及効果」でしょうか?
なので、質問に答えるなら利益の出しやすい業界ではない(出せないとは言ってない)といった具合です
雇用形態など条件も重要
「大きい水族館の求人だから」の理由でノールックで応募するのはもちろん危険です!
みなさんがアルバイトを選ぶときにまず見るのは「仕事内容」「時間帯」「時給」などだと思います。
時給少し高いけど、深夜のコンビニは魔境だった…
仕事は楽だけど、給料が少し物足りない…
飼育員の募集があっても「正社員」か「アルバイト」かで大分話が変わってきますよね?
水族館の雇用形態にはさらに「正社員以外」や「嘱託職員」、「契約社員」など水族館の募集によってさまざまです。
水族館によって多少違いはありますが、イメージを持ってもらうために雇用形態を図にしてみました。
正社員
飼育員を目指す上で、積極的に目指したい雇用形態です。
まず、雇用に期限が無いため、他の雇用形態と違い、期限が終わって更新するのか・そのまま終了なのかを問われるという不安が無くなります。
また、福利厚生も手厚く、給料以外の恩恵を得られます。
【福利厚生の例】
- 雇用保険:退職時にまとまったお金をもらえる
- 健康保険:年金・通院時に料金割引される保険証など
- 通勤手当:勤務先間の定期券やガソリン代がもらえる
- 出張日当:出張に行ったときに追加でもらえるお金
- 住宅手当:家賃の補助・社員寮なども
- 社員食堂:弁当を作る必要なし!
など
福利厚生には明確な定めがないので、会社ごとに異なります
余裕があれば実際の求人票でも確認してみましょう!
契約社員/嘱託社員
現代の求人で恐らく大多数を占める雇用形態です。
正社員との大きな違いは雇用期間に期限があることです。
数年に一度、自身の勤務態度や会社の人事などの要因を鑑み、更新するか決定されます。
「基本的に更新」と書いてあれば、よほどのことがない限り、契約が更新され契約年数働くことができるので、注目しておきましょう!
また、正社員より「責任のある仕事が少ない」です。
契約社員は勤務時間や仕事内容が決まっていることが多く、任された業務以外は正社員の仕事の補助が多いためです。
失敗する機会は低いですが、挑戦できる機会も少ないということです。
飼育員としてできることが狭まるので、それが嫌なら仕事や態度を通して信頼を貯め、上司に意見を相談・提案してみましょう!
仕事が合わなければ転職もありだと思います!
また、水族館によってはほぼ正社員と変わらない待遇で募集している場合もあります
パート/アルバイト
一番みなさんになじみのある雇用形態ですね。
学生の内から水族館のバイトとして働き、募集がでたらそのまま就職ということもできます。
すごい!夢あるね!
ただ、水族館でのバイト歴年数=就職の可能性が上がるというわけではないです。
これについて一つ体験談をお話ししますね
ある人気水族館でインターン中だったとき、その水族館にはベテランのアルバイト(大学生ではない)の方が複数働いていました
たまたま昼食場所が一緒なので聞き耳を立てていると、
今年はうちで正社員募集あるらしい!
募集人数やばそうだから対策しないとw
たぶん魚類チームだよね~!
求人ん出たら教えてもらおう
と、アルバイトをしながらその水族館の正社員を目指しているようでした。
長い人は5年以上は働いていて、社員の方とも良好な関係を築きながら仕事もしっかりこなしていました。
しかし、そのベテランアルバイトの方たちは受からず、同じ水族館でのアルバイト歴2年の大卒の方が就職しました
個人的に採用されなかった理由を考察したのが次の2点です
- 現場スタッフと深い仲でも人事採用者にはあまり関係ない
- 水族館を発展させる将来性が大卒者のほうがあった
まず、事実として人事採用を決定する役職の社員が常時現場で働いていることはありません。
現場のスタッフより給料をもらっている分、より生産性の高い仕事(運営など)をこなさなければ会社の損失になるからです。
なのでどれだけ現場と仲が深くても人事採用者には口頭の参考程度にしか見られません。
確かに自分の水族館で実際に働いてくれる人材が貴重です。
ただ、志望人数も多い中、それだけで判断するほど簡単な話ではないのです。
そこに関連するのが就職した後の将来性です。
合格した方は「他水族館での実習経験」「大学での研究」「資格」といった、+αの自分の武器を持っていました(もちろん人間性も評価されたのでしょうが)。
採用側からの視点では、「自分たちが作ったマニュアルでのアルバイト経験」だけでは、今後水族館を発展させてくれる将来性に乏しいと判断したのだと思いました。
このことで高校時代の社会の先生を思い出しました
大学を卒業後そのまま教員になるのが多い中で、社会の先生は何年かは旅行会社に勤めていた方でした
実際の体験談を交えた地理や現代社会の授業の解説は頭に入ってきやすく、記憶に残りやすかったです
そして同じようなことが水族館にも当てはまるのだとめだかは思います
一旦他の水族館に就職して目指す水族館になかった経験をしたり、全く別の業界に飛び込み新しい武器を引っ提げて募集が来たら自分だけの武器をアピールする。
遠回りこそが近道+より高い場所に連れて行ってくれる可能性だってあるのです。
社会の先生は教師としての知識だけでなく、民間会社というまわり道で得た「社会のリアル」「営業で培ったトーク力」「体験した面白い話」という自分だけの武器があるからこそ、教師としての仕事に成果がついてきました。
働きたい水族館でアルバイトをしながら正社員を目指して上手くいかないときは、実は近いようで遠回りの道なのかもしれません。
派遣社員
他の雇用形態との大きな違いは雇用する会社が違うという点です。
正社員や契約社員などは水族館を運営する会社に直接雇用されますが、派遣社員は人材派遣会社などに雇用されます。
そして派遣という形で、水族館で仕事をします。
派遣社員の募集の場合、ほぼ飼育業務に関わることはありません。
ほとんどの場合、
- 売店での接客
- 事務作業
- 入館受付
になります。
直接雇用されるわけではないので、ヘッドハンティングされない限り飼育展示業務に転属といった方法もほぼないでしょう
ほとんどの方は飼育業務をできるスタッフを目指していると思いますので、「まずは水族館の接客を学びたい」などの理由がない限りは考えなくてよい雇用形態です
水族館の規模による働き方の違い
大型の水族館と小型の水族館では飼育員としての働き方にも違いが出てきます。
その働き方の違いを理解していないと、「なんかやりたいことと違う…」なんてことなってしまうことがあるので覚えておきましょう!
これは以前に詳しく解説しているのでこちらを見てみてください。
どちらの働き方も一長一短で個人で好みが分かれてくるところだと思います!
自分に合う働き方の水族館を目指してみましょう!
最後に求人で確認したいポイントを紹介してまとめになります。
求人票で確認したいポイント
長々と書いてある求人票、以下のポイントを確認して、自分が納得できる求人なのか判断しましょう!
【求人票の確認したいポイント!】
- 雇用期間に期限があるか、ないのか?
- <期限有の場合>雇用期間はいつまでか・更新はあるのか?
- 価値観に合う仕事内容か?
- 応募資格に当てはまるか?
まとめ
今回は「○○水族館(有名で大きい館)に就職できれば飼育員として将来は安泰ですか?」という質問の回答をめだかなりに回答しました。
【回答まとめ】
水族館の特性と雇用形態を理解して判断することが大切
- 水族館が大きい=必ず利益が出ているわけではない
- 雇用形態など条件も重要
- 水族館の規模による働き方の違い
今回は省略しましたが、ここには私立水族館や公立水族館などの運営の違いも関わるところもあるので、そういったことも加味して自分で考えてみてください!
以上の前提を踏まえた上で、最終的なめだかの意見はこうです。
【めだかの意見】
働きたい目的や場所が明確でないなら、まず大型水族館を目指すのが確実
ズコーッ!
結局大きい水族館薦めるんですか!?
はい、前提が理解出来たら全然目指していいと思います!
ただ、先ほど説明したように大型水族館と小型水族館の働き方については頭に置いておいてください!
「水族館飼育員になるなら自分の価値観を理解するのが大事!」といつも言っているめだかです。
しかし、学生のうちから明確に「あの水族館で働きたい!」や「飼育員としてこんなことに挑戦したい!」と決められる方はほんの一握りだということも理解しています。
そんな時はとりあえず大型水族館を目指すのはオススメできます!
主な理由として、
- 環境がいい(福利厚生、飼育資材、立地など)
- 研修期間(マニュアル)がある
- 人との関りが多い
- 水族館のブランドを利用できる
まず、箱がでかいと収入もある程度大きくなるので、雇用条件がしっかりている場合が多いです。
あと、小型水族館でよくある「もっとこうしたいけど設備も金もない」問題、大型水族館ではある程度しっかりした設備が設置・用意されてます(使えるかは別として)。
あと研修期間ってのが本当にデカいです。
その水族館の飼育員としてのノウハウを教えてもらいながらお金がもらえるんですよ!?やばくないですか!???
正直意味が分かりません
小型水族館ではそうはいきません。
何も知らない状態でいきなり実践投入はザラにあります。
【大型水族館の場合】
このモビ〇スーツはミノフスキー・イヨネスコ型熱核反応炉という核融合反応を利用してエネルギーを産み出すことを動力としてウンタラカンタラ
なるほど!
【小型水族館の場合】
こいつ、動くぞ!(そして戦場へ)
小型水族館では熱心に指導してくれる上司がいない限り、飼育方法があいまいな自己流…なんてこともザラです。
反面、大型水族館では教育係ガチャでハズレを引かない限り、水族館のこれまでの技術や知識を学ぶことができるでしょう。
他にも研究に力を入れていたりする館も多いため、出張として全国の水族館やフィールドに出かけることが出来たり、果ては海外にも行くことができるかも…!?
某水族館では海外で生物を採集して水族館に送る、ド変態からしたら夢のような専属スタッフがいるらしいですよ、
また、そういった専門的な知識をもつ人との関りも多くなります。
自己流なことも多い小型水族館では、間違った知識が継承される危険もあります。
反面、大型水族館では色んな人の経験や知識、理論を聞くことで、飼育技術の平均的な信頼性が高くなります。
他にも知り合いが他の水族館に転職しても、仕事がやりやすくなるなどメリットがあります。
ただし、人が多いということは人間関係のトラブルも多くなるということなので注意は注意は必要です
地雷原に飛び込まないように気を付けて…
そして働いている中で、自分が飼育員としてやりたいことが明確になり、他水族館への転職を考えたときに使えます、「水族館の勤務実績」が。
名も知らぬ小型水族館から転職するよりも、相対的に名前が知られやすい大型水族館から転職する方が正直、印象良いです。
特に有名な大型水族館から、小型水族館や新しくオープンする水族館の求人の場合は他の志願者より一歩先に行けます。
「巨人の肩に乗る」という言葉があるように、良い環境の水族館に入れさえすれば少しのやる気と最小限の努力で非凡な飼育員になれると思っています。
それくらい、お客さんや従業員問わず、たくさんの人がたくさん集まるような有名な大型水族館には知識や経験が積み重なっているということです。
自分の周りの環境は本当に大事です。
こういった理由から、まずは大型水族館を目指すのはありと言っていました
まぁ、別の業界で経験を積むのもアリですし、たまたま求人のあった水族館がとてもいい場所だった、なんてことも全然あります
これが正解というわけではないのでご参考までに!
入社して定年を迎えるまで同じ会社で働くのが当たり前だった以前と違い、現代は日本を代表する大企業ですら終身雇用制を維持できないのが現状です。
もちろん水族館業界も例外ではありません。
運よく飼育員をやっているめだかも、いつ今の水族館で働けなくなるかはわかりません。
失敗を恐れ、責任を恐れ、退職を恐れ、自分の好きなことだけやって成果を出さない…
いわゆる働かないおじさんやおばさんになるよりも、
今できることとしっかり向き合い、自分の強みやスキルを高めていく
そんな姿勢が現代社会で生きる上では大切なことだと思います
次回は「よくある質問に一問一答!(就活編その4)」について回答・解説しますので、よろしくお願いします。
今回は以上です!
本日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またのご来館をお待ちしております!