こんにちは!当ブログの管理人で水族館飼育員のめだかです!
今日も水族館について学んでいきましょう!
めだかの個人的水族館ニュース【2024年2月号】
今回は2月に管理人が見知った水族館のニュースを紹介します。
気になったニュースをまとめて、当時の自分の考えも含めながら記録用に残しておこうというのが今回の記事作成の目的です。
水族館業界はどうなっているのか最低限のトレンドを知りたい方はぜひ見ていただければと思います!
●人によってはつまらない内容になるかも?
●管理人が見知った時以前のニュースもあります(1月には報道されたけど2月に知ったなど)
2月の個人的水族館ニュース
- 越前松島水族館:ミズダコ特化の新館建設
- 川崎水族館:新たにカワスイ アクア&アニマルスクール開校
- スマートアクアリウム静岡:国内初のポストプライシングを導入
- 京都水族館:熱意が企画展に昇華したカエル企画展大好評
- 日本サンショウウオセンター:赤目滝水族館としてリニューアル4月20日開業へ
- 北の大地の水族館:館長のポスト、またバズる
それではみていきましょう。
越前松島水族館:ミズダコ特化の新館建設
福井県坂井市の越前松島水族館(@echiaqua)で3月7日、世界最大級のタコ「ミズダコ」に特化した展示施設「みずだこ館」がオープンします🐙3月16日の北陸新幹線県内延伸と水族館の開館65周年を記念した新施設です。
色々な工夫が凝らされているようです👀https://t.co/0Vp46vNfup
— 読売新聞大阪本社 広報宣伝部 (@Yomiuri_Osaka) February 8, 2024
越前松島水族館(福井)で展示施設が新設されます。
「ミズダコ」に特化したみずだこ館は開館65周年を記念したものとして、3月7日にオープンするようです。
当施設のメイン、ミズダコが建物の壁を突き破って入ってきたようなトリックアートが施され、タコから伸びた腕も水槽になっているという面白い内装になるとのこと。
世界最大種のタコを存分にイメージさせてくれるような展示で楽しみですね!
越前松島水族館さんは昔からミズダコの孵化・飼育に取り組んでいる背景があります。
孵化後の飼育育成が難しい種でもあるので、この施設の完成の折に育成飼育成功を目指すということで期待が高まりますね!
川崎水族館:新たにカワスイ アクア&アニマルスクール開校
川崎水族館(神奈川)が新しく動物や水族館のことを学べる学校が開校することが発表されました。
「カワスイ アクア&アニマルスクール」を開校いたします🎉
「カワスイ アクア&アニマルスクール」は、水族館・動物園の活動目的である「調査研究」「教育」「種の保存、保全」「レクリエーション」を、スクールの教育活動を通じて実現します✍🏻… pic.twitter.com/3mo02zMW0f
— カワスイ 川崎水族館 (@kawasui_aqua) February 1, 2024
水族館発の専門学校というのは恐らく日本初ということで、個人的にも気になっています。
ざっくり調べた限りですが、こんなことがあるそうです。
- 水族館で実習ができる
- 学部コースが分かれる(専門部、高等部、社会人部)
- 基本は通学無しの通信教育
- 就活サポートが充実
水族館で実習ができる
調べたところ様々な学部に分かれているようです。
- 専門部(2年)
- 高等部(3年)
- 社会人部(半年)
都市型水族館の設備を学べる点は個人的に魅力的だと思います。
インターンや学芸員実習などで、他水族館様へお邪魔する機会はありましたが、詳しく設備のことを学ぶ機会は少なかったです。
水族館の本当の裏側を知る良い機会だと思いますし、自分のような地方の飼育員やアクアリウムを極めたい方が現在の技術を学ぶ上ではよい機会だと思います。
機密情報の塊みたいなものなので、それを知ることができるのは単純にお金で測れない部分もあるのかな?と思います
基本は通学無し通信教育
水族館が学校になるとしても、通信制の学習形態のようです。
今風の学習方法ですよね
オンラインで学べるのであれば、神奈川に限らず広い間口で興味のある方の学習機会を増やせるのではと思います
個人的な見解
あくまで個人的な見解ではありますが…
もし、知り合いに飼育員になるために大学かこちらの専門学校どちらがおすすめかと聞かれたら、現時点ではやはり大学を進めます
ざっとみた感じ、以下のポイントがあります。
- 水族館実習は実質的な制限がある(飼育生物)
- 水族館飼育員になるのに法的な必須資格はない
- 水族館への就活サポートがどのくらい有効か?
水族館実習は実質的な制限がある(飼育生物)
まず、川崎水族館は淡水魚特化の水族館です。
水族館で実習できても飼育種、設備以上のものは用意できません。
展示の基礎は学べるとは思いますが、実習には制限があると思っていいでしょう。
- イルカやクジラなどの海生哺乳類
- ペンギン
- クラゲ
- 海水魚
- 水族館がカバーしていない日淡魚
など
「実際の水族館で実習できる」という大きな強みはありますが、期間が限られたり、自分が学びたい種が展示されていない場合、他水族館に自分で実習を申し込んでもいいのかな?と思ってしまいます。
飼育員になるのに法的な必須資格はない
なろうと思えば、普通科の高校卒業後にでも飼育員にはなれます。
つまり、弁護士やタクシードライバーのように職業に就く上で法的に必須な資格がないわけです。
飼育員に必要な資格は個人で十分に取得できます。
学校での資格取得が必要になるのは学芸員ぐらいです(短大、大学)。
学芸員補になる道もありますが、前回の1月号でお話した博物館法の改正で若干厳しくなりました。
[学芸員補資格取得要件]
【改定前】
高等学校等卒業者
【改定後】
博物館に関する科目を履修した短期大学卒業者とそれと同等の学力・経験者
ただ、学芸員資格についても、認定試験に合格できれば個人で取得も可能です。
必要な資格と学芸員資格については以下で詳しく解説しているので気になる方は参考にしてみてください!
水族館への就活サポートがどのくらい有効か?
就活サポートがあると言ってもこれも個人的には疑問が残るところです。
恐らく現時点ではこちらの学校を卒業したから水族館就職に有利になるということは川崎水族館以外は薄いかなと思います。
特定の学校で水族館の就職が有利になるというのは事実だと思います。
それは過去に輩出してきた優秀な学生の皆さんの実績=信頼があるからです。
個人的に気になるのは「専門部」は恐らく公的な認可を受けていない「無認可校」かもしれないということです。
認可を受けていない場合、専門部を卒業しても履歴書などに学歴として「専門卒」と記入することができず、最終学歴は「高卒」となります。
認可を受けた学校は名前に「専門学校」がつく
※ただし、認可を受けていても伝統的な名称でつかない場合あり
もしかしたら誤りもあるかもしれませんし、今後は認可に向けて活動する可能性もあります。
ただ、安くない授業料を払って通う分、しっかり自分で考える必要は出てくることを忘れないようにしましょう。
気になる方は認可校と無認可校の違いを調べてみてください。
今後、学校で優秀な人材を輩出し続けるなら、信頼もたまり、多少就職に有利になることもあると思います。
総括
知り合いが飼育員を目指すならと聞かれたら、
- 以上3つの理由
- 事業のタイミング
- カリキュラム内容
を踏まえて現時点だとまだ胸を張って進めれないかな?と思います。
入れるのであれば現時点でやはり大学で学ぶ方が、
- 水族館だけに縛られない広い経験と講義
- 基礎教養を高める2年と専門知識を高める2年
- 論文などを作成するための文章力・論理的思考力
- 歴代OB・OGの飼育員とのコネクション
- 学歴による他業種への就職先の選択肢という保険
以上のような色々なメリットがあると思います。
もちろん、めだかのポジショントークという側面もあるのであくまでご参考までに。
専門学校出身の方でも管理人よりずっと優秀な方はいらっしゃいます。
ただ、川崎水族館の展示や濾過システムMBBR法や脱窒などを実際に扱いながら学べるのは魅力的です。
通信教育で遠方からも対応できると思うので時間とお金が許すならぜひ一度学んでみたいと思っています!
スマートアクアリウム静岡:国内初のポストプライシングを導入
本日よりお客様自身が入館料を決める、ポストプライシングを開催しております!
普段よりもたくさんのお客様に御来館いただいております😭
出口には、皆様がお支払いただいた内容をシールアンケートとしてご覧いただけます。
今日の結果はこんな感じでした!
明日以降もご来館お待ちしております! pic.twitter.com/dAKhtzrN3c— スマートアクアリウム静岡【公式】 (@smartaqua_sz) February 1, 2024
スマートアクアリウム静岡(静岡)にて2月1日から変わった取り組みがされています。
入館者が自身の満足度に応じて出口で入館料を決定する「ポストプライシング」という支払い方法が平日限定で導入されています。
【入館料の支払い方法の違い】
従来の水族館の決済:入口での先払い制、価格決定が水族館側
ポストプライシング:出口での後払い制、価格決定が来館者側
水族館での前例はなく、初の試みと言えると思います。
取り組みを始めるきっかけとしては「水族館の閑散期事情」が関わっていることがインタビュー記事からも分かります。
これまで1,400円であった入館料がなんと驚きの0円から設定できるようになっています(平日限定)。
維持費などを考えると赤字覚悟の試みということですが、奇抜な取り組みがメディアに連日取り上げられ、お客さんが結構いらっしゃっているようです。
閑散期だからこそ、何か考えて試してみるということが失敗か成功か関係なく本当に素晴らしいことだと思います。
ちなみに、支払った入館料のアンケートを見ると1,000円くらいが多い印象でした(-400円)。
他館でも実装することを考えた場合、
- キャッシュレス決済が前提
- 運営は私立水族館
になると思います。
現金だとヒューマンエラーが頻発する(いつもと違う場所での精算に加え、計算ミスや、釣銭切れなど)と思います。
また、公立の水族館や指定管理水族館では、入館料をコロコロ変更できません。
市議会などで決議をとる必要があります。
こちらの全国の水族館の入館料ランキングでは値上がりの状況も追っているのですが、値上がりした多くの水族館は私立水族館だと分かります。
全てではないですが、維持費が高騰する中こうした背景で据え置き価格の水族館が存在するわけです。
いずれにせよ、閑散期だからできる取り組みですね。
ポストプライシングは3月末まで続けるそうです。
決められたただ入館料を払うのではなく、自分の心と相談して考えて支払ってみるのも面白いかもしれませんね。
0円の勇気はありませんが笑
京都水族館:熱意が企画展に昇華したカエル企画展大好評
今日、京都水族館の中に
小さな水族館ができました🎉その名も
🐸石川薫の水族館🐸
~~~~~~~~~~館長をつとめるのは
飼育スタッフの石川薫です。
彼が溺愛するヒキガエルを
スペシャル水槽で展示します!ヒキガエルへの愛がたっぷり詰まった
石川薫の水族館へ、ぜひお越しください🎶 pic.twitter.com/9EBhwzO9zh— 京都水族館 (@Kyoto_Aquarium) October 27, 2023
京都水族館(京都)の飼育員が考案した企画展が大好評ということです。
煽り文に引き寄せらせ読んだニュースで思わずほっこりしてしまいました。
勤務して3年の飼育員の方が企画した企画展が昨年10月から好評を博しているそうです。
「気持ち悪い印象を抱からがちなカエルの魅力を発信したい」という、両生類が好きな飼育員がヒキガエルをテーマに企画したそうです。
情熱を持った飼育員とそれを展示に反映させた水族館によって実現されたということで、まさに水族館飼育員の仕事だなと心動かされました。
下記リンク先の企画展に対する熱い文章もぜひ読んでいただければ!
延長に延長を重ね3月15日まで開催しているそうです。
日本サンショウウオセンター:赤目滝水族館としてリニューアル4月20日開業へ
名称は『赤目滝水族館』に!乞うご期待!実はボクがな、地域力創造アドバイザーとして関わってる仕事の一環なんや。https://t.co/zvTTJhTeud
— 中村元(水族館プロデューサー) (@kapaguy) February 27, 2024
日本サンショウウオセンター(三重)がリニューアルを行い、赤目滝水族館として生まれ変わるそうです。
元々の名前の通り、サンショウウオを中心とした両生類の展示が魅力的な施設です。
数々の水族館のリニューアルを手掛けてきた、(凄腕の)水族館プロデューサー中村 元さんがアドバイザーとなるそうで、更に注目が集まっています。
「日本サンショウウオセンター」という名前から「赤目滝水族館」と施設名称に水族館が入ることでよりお客さんに認知されやすくなりそうですね!
サンショウウオというと京都水族館が有名になっていますが、ぜひ小型水族館の良さを前面に出して尖った水族館になっていただければと思います。
北の大地の水族館:館長出てくるボタンまたバズる
— 山内 創 (@suymuc) February 9, 2024
こちら山の水族館 北の大地の水族館(北海道)の館長をなされている山内 創館長の個人アカウントです。
来館者の質問に対する回答に思わずクスッと来てしまいますね。
かくゆうめだかも最近は水族館の公式SNSで発信しているのですが、短い文章で前提条件プラス読む人の心を動かすことは本当に難しく、苦戦気味です(特に炎上が怖い)。
来館者目線になって何が面白いのかやどうしたら伝えたいことを知ってもらえるかをしっかり考えることができるからこそ、再現性高くバズっているのだと勝手に思っています。
館長自ら率先して行なっていると、どんな価値観の水族館なのか分かりやすいし、この人の下で働きたい!という
組織で大事な採用時の価値観のすり合わせもスムーズにいくのかな?と思います。
国内の水族館の中でもトップクラスにSNSマーケティングが一番美味い方だと思っています。
こういったユーモアも挟みながら、水族館の展示にも活きる、北の大地に生きる生き物たちを紹介した内容を発信しているので大変勉強になります。
SNSを始め、noteでも情報発信されており、正直自分のブログより勉強になります(マジで)
まだまだ遠いところにいらっしゃるお方ですが、いつか後ろ姿だけでも見えるくらいには追い付ければと思っています。
水族館のトップが何を考えて、どう行動しているか?ぜひ参考にしてみてください!
こちらのリンクからぜひフォローしてみてくださいね!
まとめ
ということで今回は管理人めだかが気になる水族館ニュースを6つ紹介しました。
他の水族館に目を向けることで勉強になることも多いです。
また、今回のニュースには個人的な意見も含まれているので盲信しすぎず、むしろアラを見つけてやろうぐらいでみていただけたら嬉しいです。
今後も定期的なブログ更新という意味も含め、みなさんにも気になったことを共有できればと思いますのでよろしくお願いします!
本日はここまでです。
最後までお読みいただきありがとうございました!
またのご来館をお待ちしております!
おまけ:2月の珍しい生物展示ニュース
今月も珍しい生物ニュースが届きましたね!
深海魚が展示しやすい寒い冬こそぜひ水族館へ!
新江ノ島水族館(神奈川)メンダコ(展示終了)
公開18日目のメンダコ
きょうのようすをお見せします。メンダコの生態解明への挑戦!
お耳が生えた深海のアイドル「メンダコ」https://t.co/YewTpwysag
ℹ️短期間で終了の場合があります pic.twitter.com/DHHOzQ0e6C— 新江ノ島水族館 (@enosui_com) February 17, 2024
八景島シーパラダイス(神奈川)ミツクリザメ